内に燻る塊を放置されて戸惑ったけれど、安静にと言われたし、眠るしかないんだろう。もしかして......縫合の痛みを紛らわせるために、敢えてあんな行動を取ってくれたのかもしれない。
そうだ。腕を縛られていたのだって、頭を固定されていたのだって、治療の痛みに動けば私が一層痛い思いをするからだ。それなのに私ときたら......。
だけどいつまでも燻り続ける熱源を宥められなくて、なかなか眠れない。
スイッチを押さない限りソウシさんは来ないと思ったのか、もう見られても構わないと思ったのか。正直なところなんにも考えてなくて、ソウシさんがあのまま続けてくれれば良かったのにというちょっと恨みがましい気持ちばかりがあった。
幸い指には包帯も絆創膏も巻かれていない。陰核に忍ばせると、予想通り濡れていた。そう。陰核まで。きっとベッドも汚れているんだろうなと確認するべく少し上体をずらした時、突然開いたドアから入ってきたソウシさんが迷いのない足取りでベッドまで来て、内心慌てている私の額にキスをした。
「私はね贔屓ちゃん、よく思うんだ。絶対安静って、どこまで適応されるのかなって。今回の場合なら、傷口が開かなければいい。だけど動けば縫合箇所は痛むかもね?」
「ごめんなさ」
「ねぇ。何をしてたの?」
「あの......」
「私に出来ることだったら手伝うよ?言ったでしょ?私は医者だからって」
「いや......少し、動きたかっただけで、もう大丈夫です」
「嘘は悲しいな。私には言えないこと?それとも、言えないくらい恥ずかしいこと?」
何をしようとしてたかなんて、分かるはずない。上体をずらそうとした時、私の掌は体の横に着いていて、お尻を浮かそうとしていただけだったんだから。
そう思うけれど、まるで最初から見ていたかのような指摘に、私の顔は赤くなった。
「フフ。真っ赤。ほんとに可愛い」
ソウシさんはシーツを捲ってベッドに上がると、私を四肢で囲って見下ろす。
「大人しく医者の言うことを聞く患者さんは少ないんだよ。お仕置き、しなくちゃね?」
そう言うと、首筋に舌を這わせた。
「あ、」
小さく零れた吐息に滲んだ情欲は、私の答えになっただろうか。
「ふ。嬉しいよ、贔屓ちゃん。さっきの行為は、ちゃんと愛撫になったんだね」
温かい手が、胸の膨らみをなぞってやわやわと揉みしだく。白くて細い指が乳輪をくるくると撫でて時折先端を掠めては遠退く。
その間にも舌は休むことなく鎖骨を這い、胸の突起を捏ね、傷の合間を縫い下りて、熱い息で私の肌を湿らせていく。
「嫌がらないの?」
「あ......は、ぁ......ぁあっ」
「私が男だって、分かってなかった?みんなだってそうだ。男の目で、君を見てる。私が、どれだけ我慢してたか......私達を信じて疑わない君に見透かされないように、どれだけ我慢したか......」
下腹部への愛撫は、治療中のそれを思い起こさせる。傷口の横を撫でては舐めながら、脇を擽り、乳首を摘まむ。
「贔屓ちゃんは感じやすいんだね。ここはどうなってるかな?」
繁みの生え際を捏ねるように舐めていたソウシさんが左の膝裏に手を差し込んで持ち上げると、ほうっと息を洩らした。
「ああ......」
「すごく、濡れてる......」
自分でも分かってたけど、改めて言葉にされると恥ずかしくて居たたまれない。ゴクッと喉の鳴る音に充てられて、更に湧いた愛液が、またトロリと垂れた。
「あっ」
食い入るように観察されてあまりの羞恥に目を閉じると、陰唇をかぷりと食まれて驚く。
「フフ。ぬるぬるで唇が滑ってしまうよ?舐め取ってあげようね」
疲れを知らないようなその舌は、脚の付け根をチロチロと這い、会陰をねぶる。そうしてぐるりと膣の周りを一周させると、別の生き物のようにうねうねと尿道口を刺激し始めた。
「......贔屓ちゃん。おしっこ、したくない?」
脈絡もなく言われた一言は、快感と痛みともどかしさに翻弄されていた私を現実に引き戻し、容易に尿意を連想させた。確かにそれが促されてもおかしくない行為ではあるし、さっきまで胸を蹂躙していた手は今、お腹の上から膀胱の辺りを圧している。
「そ、しさ......あの......」
強烈な尿意ではない。じわじわと、行きたいような行きたくないような、だけどそのまま続けられるには不安が拭えない、そんな感覚。
「ん?したい?」
「した、い、です、んんっ」
「フフ。素直だね?行きたい、じゃなくてしたいんだね?」
「え?」
尚も続く刺激に、むず痒い快感が増す。
「しちゃっていいよ?」
そう言うソウシさんからは、トイレに行かせてくれる気配を感じない。
「あっ、あの......ゃあぁぁぁ」
うっかり気を抜いたところへしなやかな指が二本、膣内に差し込まれ、内側から膀胱を押し上げられた。そして鼻で陰核を突つきながら、器用に尿道口を吸い上げる。
「いや......そ、しさっ、でっ......出そっ、だから......」
「うん。だから、出していいよ?......ほら、出して?」
「むっ、ムリで......やぁ......あ、あの、あ、ぁあ───!」
強引に誘われて出たおしっこには勢いがなくて、ショワショワと漏れ出す。
ソウシさんは口を離すと一瞬眺め、すぐさま唇をぴったりとくっつけて......舐めとりながら、飲んだ。
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