fragola
雲雀夢/少陰夢


Since:2010/08/01
Removal:2013/04/01



崩壊の足音


もう良い。


ツッ君が信じてくれないなら、腹いせに笹川京子を滅茶苦茶にしてやるんだから!!


精神的にも、肉体的にも、ボロボロになっちゃえば良いのよ!!


春菜は顔を醜く歪めた。


どうせ、私の取り巻きの男子達にイジメられるんだからさ。


靴箱にゴミ、物隠し、机に落書き・・・なんて、もうやられちゃってるかも。


ふん、と鼻で笑って教室に向かった。


ボロボロになって泣き叫ぶ、笹川京子の顔を思い浮かべながら。



しかし、教室に入って絶句した。


笹川京子はまだ来てなかったが、彼女の机。


昨日までと何一つ変わってない。


綺麗なまま。


何で・・・・・・?!


何で・・・どうなってるのよっ!?



「あ、春菜ちゃんおはよう!腕大丈夫か?」



心配してくれるのは男子だけ。


女子は、敵意こそ向けない物の、私なんて存在しないかのように、友達同士で喋っている。


面倒事には関わりたくないから、私から離れた。


私は、そう理解した。



だって、私はあんな役者(イレギュラー)が居たなんて、知らなかったんだから。


私の知っている世界には、あんな人は存在しなかったのだから・・・










****



朝、京子ちゃんの机は昨日と何ら変わらず、綺麗だった。

それを見た時の永山さんの反応ったら、もう見物だった。

私は別に驚かないけど。

だって、イジメなんて出来ないもん。


璃真さん、そういうの嫌いだし、京子ちゃんは璃真さんと仲が良いわけだし。





・・・・・・あ、れ?



そして気づいた矛盾。


なら、何故、彼女は・・・





昨日、あの場に来なかった?


彼女があんな騒ぎに気づかないはずがないのに。


沢田君からも、転校生について聞いているはずなのに。


なぜ・・・・・・?



考えてもわからない。


そうこうしている間に、授業が始まり、気が付くと、すでに4時間目になっていた。


空白の、京子ちゃん、花ちゃん、沢田君達・・・・・・計5人の席を見つめる。



そのとき、いきなりガラリと開けられたドア。


入ってきた人を見て、クラス中が固まった。


璃真さん・・・!?



「授業中、失礼します。永山春菜さんに話があるのですが、構いませんか?」



そう言って、彼女はニッコリ笑った。


やっと動いた・・・いや、姿を表した役者(イレギュラー)


あなたは舞台で、どう相手をするの?永山さん。



「私ぃ・・・ですかぁ?」


「うん。授業中にごめんなさい。先生、構いませんか?」


「あ、ああ!もちろんだよ!

永山、授業はちゃんと出席ということにしておくから、ちゃんと話を聞いて来なさい」


「は、はぁい・・・」



担任の態度が理解できていない永山さん。


だって、そうよね?彼女(真のヒロイン)はあなたのシナリオには載って居ないんだから。




- 12 -


prev | next





×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -