fragola
雲雀夢/少陰夢


Since:2010/08/01
Removal:2013/04/01





「・・・・・・と、出発したのは良いものの・・・」



桃太郎(仮)は道に立ち止まって、首を傾げていました。

目の前にはそれはたくさんの別れ道があります。

ふと近くにあった立て札を見ると『運命の分かれ道☆あなたの行きたい場所はど〜こ〜?』と書いてあります。



「・・・・・・どこって場所を聞いてるくせに、どの道を通ったらどこに着く、とかの標識が無いのは何でなの・・・」



桃太郎(仮)は鬼ヶ島までの道を知りません。


何せ、何の説明もされないまま、いきなり箱詰めにされたのです。


こんなに別れ道を作られても困ります。



「うーん・・・どうしよう・・・」

「「きゃー!」」

「ん?!」



どの道を通れば鬼ヶ島まで行けるのかと悩んでいた桃太郎(仮)。


どこからか、女の子の悲鳴が聞こえてきました。


慌てて声のしたほうに走って行ってみると・・・・・・



「きゃぁー!」


「はひー!」


「ガハハハ!!雷小僧だじょー!!」



見ると妖怪“雷小僧”が2人の女の子を襲っているではありませんか!



「はひー!プリティーです!」



襲っているでは・・・・・・



「お名前なんて言うの?」



・・・襲って・・・・・・?



「・・・・・・いや、どうみても一緒に遊んでいるだけだね」



・・・いませんでした。


あの“きゃー”は悲鳴ではなく歓声でした。

全くもって紛らわしい。



「こら。勝手に勘違いしただけなんだから、女の子達に当たらないの!!」



常に女性に優しく!を心掛けている桃太郎(仮)はナレーションにまで注意します。



「あれ?あなたは誰ですか?」


「とってもビューティーなガールです!!!」


「あ、私は璃真・・・・・・じゃなくて、桃太郎(仮)。あなた達は?」


「私は京子です!」


「ハルと申します!」


「オレっちはランボさんだもんね!」


「さっき桃が流れてきて、割ったらランボ君が出てきたの」


「あれ・・・もしかして本物の桃太郎?

あ、桃太郎じゃなくて雷小僧だったっけ?」



桃太郎(仮)は、うんうんと1人で納得して、再び女の子達に向き合いました。



「2人はこの近くに住んでるの?」


「はい!すぐそこにある並盛村に住んでますよ!」


「あ、じゃあ聞きたいことがあるんだけど・・・」


「何ですか?」


「鬼ヶ島までの行き方ってわかるかな?」



桃太郎(仮)がそういうと、京子とハルは目を丸くさせました。



「は、はひー!!!そんなデンジャラスな所に何しに行くんですかっ?!」


「ちょっと鬼退治に」


「危ないよ、璃真ちゃん!!」


「あ、京子!璃真じゃなくて桃太郎(仮)!」



「あ・・・・・・えっと・・・

危ないよ、桃太郎(仮)さん!」



わざわざ言い直した京子ちゃんが大変可愛らし・・・・・・ゴホン。



「でも、行かないと話が終わらないからねー」


「あ、そっか・・・」


「大人の事情ってやつですね!!!」



ちょっと違う気もしますが、とりあえず、鬼ヶ島までの道のりを村の長老に聞くことにしました。


京子とハルに案内され、桃太郎(仮)は村長のお宅に行きました。



「村長さーん!!お客様ですー!!」



一軒のお宅の戸を叩きながらハルが言うと・・・



「はーい!」



呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!!!


現れたのは栗色の髪の可愛らしい少年でした。



「え?フゥ太君が長老なの?」


「そうだよ、璃真姉。僕まだ10歳なのに!」


「だよね・・・てっきり9代目だと思ってたのに」


「イチゴが馬鹿だから、いろいろとミスキャストなんだよ〜・・・。

璃真姉に似合うおとぎ話の役ランキングでは、お姫様系が1位なのにさー」


「・・・そうなの?ボンゴレの姫とかけてるのかな?」



相変わらず無自覚な桃太郎(仮)。



「あ、そうじゃなくて。私、鬼ヶ島への行き方を聞きに来たの!」


「わかった」



村長が返事をしたと同時に、周りのものがふわりと浮き上がりました。



「わあっ!」


「はひっ!」


「あー浮くの久しぶりだなぁ・・・」



もちろん、桃太郎(仮)達も例外ではありません。

重力に逆らってふわふわと揺れています。



「こちらフゥ太、ランキング星、応答せよ」



村長の目に宇宙が見えるのは気のせいではありません。


(確かめたい方は5巻、標的34、35、他まで)



「鬼ヶ島への道、全18通り中、桃太郎(仮)さんに一番合った道は・・・・・・」



・・・・・・道に合う合わないってあるの?



「ルート27だね」


「ちょっと待った!!さっき道は全部で18って言ってなかった?」



ようやく地に着いた足で村長の方へ。



「そうだよ。ルートはNo.4〜8、16〜28なんだよ」


「なんでNo.4から始まるんだとか、9〜15はどうしたんだとか、いろいろとツッコミたい所なんだけど、その中であえて27を選んだ理由は?」


「それは、イチゴがどうしても使いたかった数字だからだよ。

ちなみに18も」



ただ、使いたい数字だったのです。18も!!



「そんな理由・・・」


「また“大人の事情”?」


「これは違うと思うよ、京子」



ただ、使いたい数字だったのです。



「璃真姉・・・じゃなくて、桃太郎(仮)さん!!きっとこの先に素敵な出会いが待ってるよ!!頑張って!!」


「うん、ありがと!!」



何はともあれ、村の人々に別れを告げ、桃太郎(仮)は鬼ヶ島へルートNo.27で向かうことにしました。




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