fragola
雲雀夢/少陰夢


Since:2010/08/01
Removal:2013/04/01



ボンゴレの姫で桃太郎パロ1


むかーし昔、ある所に。お爺さんとお婆さんが住んでいました。


お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。



「ちょい待ち。何で王子がジジイ役なわけ?芝刈りとか有り得ねーし!」


「それなら、何で私がお婆さんなのよ!!だいたい私、あなた知らないんだけど?!

初対面でいきなり熟年夫婦やれって!!?」


「知るかよ。だいたい、オレは姫が出るっつーから・・・」


「あら、私もよ。璃真が出るって言うから・・・ああ、もう!

とりあえずナレーション通りにしましょ!早く璃真に会いたいし」


「同感。

んじゃ開匣“嵐ミンク”!」


「ちょ、それ(匣)はダメなんじゃ・・・。
管理人、まだ未来編書いてないわよ?」


「管理人とか知らねーし。とりあえず、山燃やしたら、芝刈り行かなくて済むだろ」



言うより早く、山はどんどん遠慮なく燃えていきます。



「ねぇ、環境破壊って言葉知ってる?」


「あー、そのセリフだめだって。カエルが言う予定だから」


「え、カエル(ry」



ただ山と川に行くだけなのに、いつまでもダラダラと喋っているお爺さんとお婆さん。


めんどくさいから、お婆さんが川についたことにします。



「ししっ、めちゃくちゃ端折ってんじゃん」


「端折ったわね」


(無視)


お婆さんが川につくと、もう日が傾き始めていました。



「あら、ならもう洗濯出来ないわね」



と、そこに。


どんぶらこー、どんぶらこー、と、大きな桃が流れてきました。



「よっしゃぁぁ!あの中ね?!あの中に可愛い可愛い璃真が!!!」



お婆さんはバジャンと川に飛び込み、流れてきた桃を抱きかかえ、大急ぎで家に帰りました。

お爺さんも嬉しそうに後に続きます。





しかし、桃を持って帰ったのは良いものの、包丁を持つお婆さんの手は酷く震えています。

もともと名家のお嬢様なお婆さん。

料理など、ほとんどしたことが無いのです。



「震えすぎ。貸してみ。中の璃真を傷つけるわけにいかねーし」



一方、ナイフさばきは、お手の物なお爺さん。

お婆さんから包丁を受け取り、綺麗にスパンと切りました。


すると、



「ガハハハハ!ランボさん登場だもんね!

主役はオレっちのもの!」



ガハハ、と中から元気な男の子が出てきました。



「「・・・・・・・・・」」



見ていて無性にムカつくのは何故でしょうか。


パタン。


「川に流して来るわ」


「オレ、桃にくくりつける縄と岩、用意する」



お婆さんは割れた桃を無言で閉じて、お爺さんは縄を持ち、再び川へ向かいました。





ランボを捨て・・・・・・ゴホンッ。


桃を自然に返した後、2人はすっかり暗くなってしまった道を歩いていました。



「ん?」



そのとき、お爺さんはふと目の端に何かをとらえました。


視線をそちらへ向けると、竹藪の中、何やら明かりが見えます。


近づいてみると、なんともと光る竹なむ一筋ありけるではありませんか。



「・・・!なーる。姫は、かぐや姫ってか」


「確かに桃で流されてくるなんて、マヌケだしね!」



お爺さんとお婆さんは、うんうんと頷きました。


彼らが期待している“璃真”は、兎に角、可愛らしい姫なのです。


例え作り話でも、桃なんぞから産まれるはずがありません。


まぁ、竹から産まれるのもどうかと思いますが。


それは一先ず置いておいて、お爺さんは、早速その竹をスパンッと切りました。



「り───・・・」


「クフフフ。僕をこんな所に押し込めるとは、良い度胸ですね」



嬉々として竹の中を覗き込んだお爺さんとお婆さんですが、中に居たのは予想に反して、フルーティーな出で立ちの少年でした。



「あら不思議。こんな所にガムテープが」


「オレが竹持つわ」



お爺さんが竹を繋ぎ、お婆さんはグルグルと、テープを何重にも巻きました。



「ちょ、待ちなさい!何ですこの仕打ちは!!?」

「腹減ったな」

「僕を無視するとは良い度胸ですね!」

「デリバリー頼む?」

「だから待て!」





フルーティーを無視して家に帰った2人。


ピザを頼み、簡単に夕飯を済ませました。



「結局、璃真が登場しないまま、1日終わっちゃったわね・・・」


「明日来なかったら王子帰るから」


「私だって!璃真がいない話なんて、生クリームの無いショートケーキだわ」


「いや、ボスがいないレヴィだろ」



よく分からない例え話に花を咲かせる2人。





こうしてして夜は明け、次の日になりました。


ピンポーン・・・


正午を少し過ぎた頃、誰かがインターホンを押しました。


こんな山の中、珍しい来客です。



「誰だ?」


「まさか璃真?こんな登場ありなのか分からないけど・・・」



2人が戸を開けると・・・



「うおぉぉっ!!極限に宅配だー!!!」



極限なお兄さんが立っていました。


それはそれは、大きなダンボール箱を抱えています。


そう・・・















まるで、人が1人、入っていそうな。



「え、嘘・・・!?ちょっ、まさか“そんな”登場なのっ!!?」


「ししっ。まさかの箱詰め?」


「笑い事じゃない!早く家の中に運んで!」


「王子に命令すんな」



そう言いながらも、お爺さんはそのダンボール箱を、居間まで運んであげました。


慌てて箱をあけると・・・



「嫌ぁぁぁ!!!私の璃真がぁぁ!!!!」



ロープでグルグル巻きにされた少女の姿が。

口にはガムテープが貼られています。



「あ、送り主、アルコバレーノじゃん」


「あんのクソガキが・・・!!」



しかし、文句を言う前に、少女に巻かれた包帯を解いていきます。



「た、助かったぁ・・・」



箱から出た少女に、お婆さんはギュッと抱きつきました。



「無事で良かったわ!!」


「愛羅!あ、じゃなくてお婆さん?えっと、私、鬼退治に・・・」


「「行かなくて良い!」」


「でもほら、管理人のイチゴが、行かないと困るみたいだし・・・」


「璃真・・・!何て優しいの!あんな駄目管理人の為に・・・!」


「ほっときゃ良いじゃん。王子の相手しろよ」


「そういうわけにも・・・・・・。あと都合上、名前は“璃真”じゃなくて“桃太郎”になってるから」


「も、桃太郎!?なんてダッサイ名前・・・」


「つーか、姫は桃から生まれてねーじゃん」


「あー・・・じゃあ、桃太郎(仮)ってことで!とりあえず、行ってくるね!」


「王子のナイフ貸してやるよ。鬼退治したら、ちゃんと返しに来いよ?」


「ありがと、お爺さん!あ、きび団子ある?」


「きび団子は無いわね・・・。代わりにナミモリーヌのケーキでも良い?」


「・・・何でも良いや」



桃太郎(仮)は、日持ちしなそうだなぁ・・・と思いながらも、お爺さんとお婆さんに別れを告げ、旅に出ました。




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