フカフカした感触。
薬品の独特の匂い。
「ん・・・」
目を開けるとそこは・・・
「・・・・・・・・・どこ?」
保健室らしき場所のベッドの上でした。
ベッドの横にあるアタッシュケースと大きな旅行カバン。
私の物だ。
赤い惑星の仕事が終え、報酬を受け取った・・・。
そこまでは覚えている。
報酬が多すぎて、アタッシュケースに入りきらず、武器や衣服を入れていた旅行カバンにも、報酬を入れるハメになって・・・。
で・・・その後、家に向かって歩いてて・・・?
記憶を整理しながら、カーテンを開け、室内を見渡す。
生徒も養護教諭の先生もいない。
棚に置いてあったデジタル時計で日付と時間を確認する。
5月21日。
・・・・・・・・・私が任務を終えたのは、4月21日だった気がするんだけど・・・。
1ヵ月も寝ていた・・・?
そんなバカな。
ないない。
色々おかしいと思い、指紋センサー付きの旅行カバンから、ケータイを出す・・・が。
「圏外、ね・・・・・・」
この白いケータイはただのケータイじゃない。
数週間前、高校入学と同時にもらったボンゴレの最新技術の詰め込まれたケータイ。
指紋センサーがついていて、登録している人以外が開くとロックがかかるし、
特殊なGPSも付いていて、この信号はボンゴレでしかキャッチできない仕組みになっている。
ちなみに太陽光発電の充電要らずだとか。
こんな万能ケータイに圏外なんて有るはずがない。
リボーン君からも、そう聞いている。
一度電源を切って再びつけるが、左上の表示は変わらなかった。
おかしい・・・。
任務の後、何があった・・・・・・?
璃真は必死に記憶を手繰った。
「ガハハハ!!」
頭に浮かんだのは、元気な笑い声。
そうだ・・・ランボ君に会ったんだ。
で、確かリボーン君も来て、いつものように泣かされて、10年バズーカを撃ったけど、私に当たった・・・・・・。
ということは、ここは10年後の世界・・・?
なら私は25、6歳のはず・・・。
何で学校に?
それに10年後にしては変わらなさすぎている。
置いてあるパソコンも、私がいた時代の物と大差ない。
まさか、バズーカの故障?
数年後・・・もしかしたら1ヵ月後に飛ばされたのかもしれない。
どちらにしても、まだ情報が少なすぎて判断できない。
とりあえず・・・。
私が現状を確認するまで、みんなが心配しないようにリボーン君が一言言ってくれてることを願おう・・・。
ツナ達ももちろんだけど、
特に、恭弥や愛羅、骸に赤い惑星のみんなに・・・
お母さんには・・・
武者修行で誤魔化せば大丈夫かな・・・うん。天然だし。
考えていたら、ガラリとドアが開いた。
「お、目が覚めたみたいじゃのぉ。
その荷物、お前さんのであっとったか?」
「そばにあったし、他に人もいなかった。
彼女の持ち物である確率は87%だ」
「気がついて良かったっス!」
男子生徒が3人。
何かの部活の仲間のようで、みんな肩に同じ大きなカバンをかけている。
テニス部・・・かな?
「あの・・・私、どうしてたんですか?」
「覚えてないのか?校庭の近くに倒れてたんだ。それで、俺たちが見つけて保健室まで運んできた」
「そう・・・ですか。わざわざ運んで頂いて、すみません。荷物もありがとうございました」
ふわりと微笑む璃真に3人は頬を染めた。
「お、俺、切原赤也っス!////」
「・・・仁王雅治じゃ//」
「柳蓮二だ//」
「私は沢田璃真と言います。本当にありがとうございました」
一通り挨拶が終えたところで、養護教諭の先生が入ってきた。
「大丈夫?気分はどう?」
「何ともありません。ご迷惑おかけして申し訳ありません」
「いいのよ。でもあなた、うちの生徒じゃないわよね?どうしてあんな場所にいたの?」
バズーカに当たって、気がついたらあそこに居ました!
・・・なーんて、言えるはずがない。
「私は沢田璃真といいます。
近々、こちらに編入しようと思っていたので、今日はその下見に来ていたんです」
うん。完璧な言い訳!
誰も疑ってない。
「そうだったの。編入の為の書類なんかはもらった?」
「まだです。どうやら部活を見ているうちに倒れてしまったみたいで」
「なら、職員室まで案内してあげるわ。体は弱いほうなの?」
その言葉に少し感動してしまった。
相手を労る言葉・・・。
普通のことなんだろうけど、男子を相手にしている時のシャマルさんに聞かせてやりたい。
「いえ。そんなことないんですが、最近寝不足だったので、その為だと思います」
「そう。何もないようなら良かったわ」
ガラッ
「あら、どうしたの、そのケガ!」
足から血を流した生徒。
「試合中にスパイクで・・・いてて・・・」
「大変っ!
柳君達、悪いけど沢田さんを職員室まで案内してあげて?」
「わかりました」
「あ、1人で大丈夫です」
「また倒れたらどうすんスか!」
切原君が、私のアタッシュケースを持ってニカッと笑った。
旅行カバンは柳君が持ってくれている。
「あ、自分で持つので大丈夫です。お気遣いありがとうごさいます」
そう言って荷物を取る。
とっさについた嘘でわざわざ案内までさせてしまうのに、荷物まで持たせるわけにはいかない。
荷物、結構重いしね。
気がつくと
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