fragola
雲雀夢/少陰夢


Since:2010/08/01
Removal:2013/04/01



気がつくと


フカフカした感触。


薬品の独特の匂い。



「ん・・・」



目を開けるとそこは・・・



「・・・・・・・・・どこ?」



保健室らしき場所のベッドの上でした。



ベッドの横にあるアタッシュケースと大きな旅行カバン。


私の物だ。


赤い惑星の仕事が終え、報酬を受け取った・・・。


そこまでは覚えている。


報酬が多すぎて、アタッシュケースに入りきらず、武器や衣服を入れていた旅行カバンにも、報酬を入れるハメになって・・・。


で・・・その後、家に向かって歩いてて・・・?



記憶を整理しながら、カーテンを開け、室内を見渡す。


生徒も養護教諭の先生もいない。



棚に置いてあったデジタル時計で日付と時間を確認する。



5月21日。



・・・・・・・・・私が任務を終えたのは、4月21日だった気がするんだけど・・・。


1ヵ月も寝ていた・・・?

そんなバカな。


ないない。


色々おかしいと思い、指紋センサー付きの旅行カバンから、ケータイを出す・・・が。



「圏外、ね・・・・・・」



この白いケータイはただのケータイじゃない。


数週間前、高校入学と同時にもらったボンゴレの最新技術の詰め込まれたケータイ。


指紋センサーがついていて、登録している人以外が開くとロックがかかるし、

特殊なGPSも付いていて、この信号はボンゴレでしかキャッチできない仕組みになっている。


ちなみに太陽光発電の充電要らずだとか。


こんな万能ケータイに圏外なんて有るはずがない。


リボーン君からも、そう聞いている。


一度電源を切って再びつけるが、左上の表示は変わらなかった。


おかしい・・・。


任務の後、何があった・・・・・・?



璃真は必死に記憶を手繰った。



「ガハハハ!!」



頭に浮かんだのは、元気な笑い声。


そうだ・・・ランボ君に会ったんだ。


で、確かリボーン君も来て、いつものように泣かされて、10年バズーカを撃ったけど、私に当たった・・・・・・。


ということは、ここは10年後の世界・・・?


なら私は25、6歳のはず・・・。


何で学校に?


それに10年後にしては変わらなさすぎている。


置いてあるパソコンも、私がいた時代の物と大差ない。


まさか、バズーカの故障?


数年後・・・もしかしたら1ヵ月後に飛ばされたのかもしれない。


どちらにしても、まだ情報が少なすぎて判断できない。


とりあえず・・・。


私が現状を確認するまで、みんなが心配しないようにリボーン君が一言言ってくれてることを願おう・・・。


ツナ達ももちろんだけど、


特に、恭弥や愛羅、骸に赤い惑星のみんなに・・・


お母さんには・・・


武者修行で誤魔化せば大丈夫かな・・・うん。天然だし。


考えていたら、ガラリとドアが開いた。



「お、目が覚めたみたいじゃのぉ。

その荷物、お前さんのであっとったか?」


「そばにあったし、他に人もいなかった。
彼女の持ち物である確率は87%だ」


「気がついて良かったっス!」



男子生徒が3人。


何かの部活の仲間のようで、みんな肩に同じ大きなカバンをかけている。


テニス部・・・かな?



「あの・・・私、どうしてたんですか?」


「覚えてないのか?校庭の近くに倒れてたんだ。それで、俺たちが見つけて保健室まで運んできた」


「そう・・・ですか。わざわざ運んで頂いて、すみません。荷物もありがとうございました」



ふわりと微笑む璃真に3人は頬を染めた。



「お、俺、切原赤也っス!////」


「・・・仁王雅治じゃ//」


「柳蓮二だ//」


「私は沢田璃真と言います。本当にありがとうございました」



一通り挨拶が終えたところで、養護教諭の先生が入ってきた。



「大丈夫?気分はどう?」


「何ともありません。ご迷惑おかけして申し訳ありません」


「いいのよ。でもあなた、うちの生徒じゃないわよね?どうしてあんな場所にいたの?」



バズーカに当たって、気がついたらあそこに居ました!


・・・なーんて、言えるはずがない。



「私は沢田璃真といいます。

近々、こちらに編入しようと思っていたので、今日はその下見に来ていたんです」



うん。完璧な言い訳!


誰も疑ってない。



「そうだったの。編入の為の書類なんかはもらった?」


「まだです。どうやら部活を見ているうちに倒れてしまったみたいで」


「なら、職員室まで案内してあげるわ。体は弱いほうなの?」



その言葉に少し感動してしまった。



相手を労る言葉・・・。


普通のことなんだろうけど、男子を相手にしている時のシャマルさんに聞かせてやりたい。



「いえ。そんなことないんですが、最近寝不足だったので、その為だと思います」


「そう。何もないようなら良かったわ」


ガラッ


「あら、どうしたの、そのケガ!」



足から血を流した生徒。



「試合中にスパイクで・・・いてて・・・」


「大変っ!

柳君達、悪いけど沢田さんを職員室まで案内してあげて?」


「わかりました」


「あ、1人で大丈夫です」


「また倒れたらどうすんスか!」



切原君が、私のアタッシュケースを持ってニカッと笑った。


旅行カバンは柳君が持ってくれている。



「あ、自分で持つので大丈夫です。お気遣いありがとうごさいます」



そう言って荷物を取る。


とっさについた嘘でわざわざ案内までさせてしまうのに、荷物まで持たせるわけにはいかない。

荷物、結構重いしね。




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