ついに見付けた。 ナマエのサイトを。 苦節八ヶ月……。 かなり迷走してしまった。 あのランキングから探したのが凶と出たようだ。 最初に読んだサイト……。 今思い出しても身震いする。 何故俺があの野郎にヤられなければならねぇんだ? ヤるじゃねぇ、ヤられていた。 まさかナマエも読んだんじゃねぇだろうな? まさかな……。 いったいどんな気持ちで読んだんだろうな。いや、きっと読んでねぇはずだ。そう願いたい。 次に出会ったサイト……。 俺がクソメガネと……。 あり得ねぇ。 ナマエが変な誤解をしたらどうすんだ? クソがっ。 最初からこうすればよかった。 『進撃の検索』で管理人の名前で検索したら一発で出てきた。 さぁ、ナマエよ、もう逃げも隠れも出来まい。 多いな……。 流石に八ヶ月も毎日更新していただけのことはある。 完読するのに一晩かかった。 だがこれで、ナマエがどんな俺を望んでいるのか把握できた。 今日、俺はナマエに告白する。 混雑する前の朝の食堂。 必ずナマエはテラスに居るはずだ。 俺が飲むストレートティとナマエの好きなミルクティを持ってテラスに向かった。 「おはようございます、兵長」 やはり、居た。 「ミルクティ飲むか?」 ナマエは礼を言ってカップを受けとった。 ナマエの前に座って紅茶を飲もうとしたとき、緊張のあまり、カップから紅茶が少し溢れた。 それを見たナマエは、咄嗟に自分のハンカチを取り出して、 「どうぞ……お使いください」 と言った。 『どうぞ……お使いください』か。 Un-visible feeling2話目のナマエの台詞だ。 た、確かこの話では、俺はこう答えれば上手く行く筈だ。 「……現在進行形だ!」 「……何がですか?」 チッ、ダメか。 ならば、よく使われているこの台詞でナマエをメロメロにしてやる! 俺はナマエの手をとり、特にエロい想像をした訳でもなく、エロい状況下にある訳でもなく、だから普段のふにゃふにゃの状態の股間にナマエの手を押し当てて、 「もう……こんなだ」 と、囁いてみせた。 これでどうだ? ナマエよ! ナマエは俯き、肩を震わせたと思ったら、俺の股間にあるナマエの手に力が入った。 ナマエはそのままもう片方の手を俺の脇の下に入れ、股間にある方の手で俺を持ち上げるようにして勢いよく投げ飛ばした。 「兵長……。兵長が何をしたかったのか分かりませんが、これはセクハラです。団長に報告しに行きます」 「オイッ、待て」 床に転がったまま、叫ぶ様にナマエを引き留めた。 「何ですか兵長。黙っていて欲しいですか?」 「……」 違う。そうじゃねぇ。 俺はお前に惚れている。 言いたかった言葉を言えるような状況ではなくなってしまった。 「そうですねぇ。黙っていてあげますよ? その代わり私の願いを聞いて下さい」 ここは条件を飲んだ方が無難か? 取り敢えず内容を聞いてみるか。 「なんだ?」 「私とお付き合いして貰えませんか?」 「……」 あまりのことに言葉が出なかった。 「ダメなら言いふらします」 脅迫かよ! 「よし、その条件飲んだ」 愛しいナマエ。 今はまだいい。 いつか、俺の気持ちを知ってくれ。 ナマエが俺に手を差し伸べた。 End [ *前 ]|[ 次# ] [ main ]|[ TOP ] |