肉食系ラビット | ナノ
憧れの人

 


今日は高等部の入学式だ。
桜の花弁を乗せる風にはまだ肌寒さを感じつつ陽射しはもう暖かみを帯びている。
絶好の入学式日和だと思う。

俺は幼稚園から大学まであるこの学園には中等部から居る。
高等部に入学する大半の生徒が中等部からの持ち上がりで高等部入学当日に入学式でクラス分けと掲示で寮室が分かる。
クラス分けは兎も角、寮室次第では運命が変わる。
余程の事がない限り寮室は三年間変わらないからだ。
毎年変えないのは多分、面倒だからと思う。
規模が大きいこの学園の全教育課程の全学年を毎年変えるなんてかなりの時間を浪費するしな。
万が一の為に、どうしても同室者と合わなければ互いが合意して申請すれば部屋は変えられるらしい。

中等部の時にお世話になった寮室とのお別れに寂しさを感じながら新たな寮室を確認する為に俺は張り出された掲示板を見に行った。



新しい制服に身を包む初々しい生徒の人集りの中、平均より背が高く視力が良い俺は後ろの方から掲示板を眺めた。
あまり時間も掛からずに自分の名前を見つけた時に思わず目を疑った。


305号室
1年A組 宮野 汰狼(みやの たろう)
1年B組 清隆寺 雅兎(せいりゅうじ まさと)


掲示板にはこう書かれていた。
宮野の方は俺だ。
清隆寺ってあの…名前まで一致してるし間違いない。
まさか、彼と同じ部屋になれるなんて思ってもいなかった。


 


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