声に乗せて | ナノ


 


バンドを始めるきっかけになったのは俺が母さんに褒められたからだ。

帝は母さんの歌声が好きで、よく家に来てはついでにと俺の歌も聴いてた。
母さんに認められた時も丁度家に居て、一人前になったなら俺のバンドで歌えって言われてボーカル募集中の帝のバンドに誘われた。
当時中2の俺をステージの真ん中に立たせる訳にはいかないって母さんが反対したけど、人の良い笑みを浮かべた帝が別録りをするから大丈夫だと説得して加入が決まった。
帝は母さん達の前では良い人を演じるから母さんはあっさり承諾したんだよなぁ。
俺は俺で、母さんに認められたのが嬉しかったから直ぐに頷いた。
何よりも、俺も早く人前で歌いたかったし。

だから姫は人前に現れないし現れる予定もない。
噂を聞いたからには余計出れないって。平凡な上に男だなんてファン逃げちゃうよ。


現に今俺の目の前に熱狂的な姫のファンがいる。

「ライブの日時はまだ未定なんだけど近日だってさ!また姫の歌が聴けるのかぁっ!風紀の話断ってて良かったマジで!」

帝の急な行動は今更だし今は落ち着いて桐野の話を聞いてる。
もう、歓喜のあまり口調がいつもと違う気がする。
こんな浮かれた姿始めてみた。
そんなに嬉しいのかぁ。


桐野は熱狂的なkhaosのファンで姫の信者だ。
抱かれたいランキング4位は必然的に副風紀委員長になるんだけど、こいつは断った。
理由は、いつ復活するか分からないkhaosのライブに行けなくなるから。
副風紀委員長になったら色々待遇が良くなるのにそれを断る程だからよっぽどだ。


 


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