ジェラシー







「愛してる」と叫び続ける






「ルルーシュ」

そう名を呼べばルルーシュはいつだって自分を見て微笑んでくれた。その笑顔は自分とナナリーにしか見せないもので僕はいつでも嬉しかったんだ。君の特別になれているようで。

「スザク、今日泊って行けよ」

「いいの?」

「あぁ、もちろん。ナナリーも喜ぶ」

君は?と聞いてみたいけど聞けるわけがない。「嬉しいな」と微笑んで僕はルルーシュの隣に座る。

「ルルーシュ、今日の夜・・・」

「・・・なんだ?期待してるのか?」

クスッと笑ってルルーシュが僕を見た。その言葉に顔が赤くなるのがわかる。

「仕方ないでしょ・・・、恋人なんだから」

「はは、そうだな」

そう言ってまたルルーシュはくすくすと笑った。僕はルルーシュの髪に手を伸ばそうとしたがそれをやんわりと遮られる。

「残念だがスザク、そう言うのは無しだ」

そう言われて自分の気持ちは自分でも情けなくなるくらいに沈んでしまって。

「恋人、なのに・・・」

そう呟くと仕方ないなと言うようにルルーシュは僕の頬を撫でた。自分の気持ちを知っているくせにはぐらかされてしまう。こんなにも愛しているのにルルーシュには届いていないのだろうか。

「ルルーシュ」

恋人同士なのに恋人同士がやるようなことは嫌がる。なのに、自分を見つめるその瞳は余りにも美しい。
薔薇のようだ、とぼんやり思った。綺麗だから手を伸ばすけど、実際は棘があって安易に触ることすらできない。だけど余りに美しいから目を奪われる。
ルルーシュは薔薇のようだ。トゲのあるバラのように美しい。

「ルルーシュ、僕のこと嫌い?」

「嫌いならキスなんてしないさ」

「キス以上は、僕は求めちゃだめなのかな?」

「はは、さぁ?どうだろうな」

「君は求めてくれないの?」

「求めてるさ、スザク」

嘘ばっかりだ。僕ばっかりルルーシュのことが好きみたいで辛くなる。ルルーシュは、僕のことを本気で好きなのかって。

「愛してるよ。スザク」

ちゅっと頬にキスをされて僕は唇にしたくてルルーシュの頬を撫でるけど彼は曖昧に微笑むだけだった。
僕が痛みを覚えているときも、君は感じるままに僕に触れる。僕は感じるままに君に触れることすらできないって言うのに。



僕は君だけを求めているんだ。

「ルルーシュ、眠い?」

「・・・あぁ」

「ふふ、本当だ。眠そう」

「そう思うなら寝かせてくれ・・・」

「そうだね」

髪を撫でる。柔らかい感触のさらさらな髪。

「おやすみ、ルルーシュ」

「おやすみ」

ふわっと微笑んでルルーシュの瞼が閉じた。じきに安らかな寝息が聞こえてきて僕は微笑む。

「どんな夢を見てるの?」

僕の夢だったらいいのに。そうすれば夢の中でも逢える。
僕は夢の中でも君に会うよ。君のことを思いすぎていて夢にまで出てくるんだ。それは幸せなことなんだけど、同時に寂しいんだよ。
ルルーシュが近くにいないときにルルーシュの夢を見るとね、目が覚めるとどうしようもなく寂しくなるんだ。あぁ、ルルーシュはここにはいないって。だけど今日は君がいるから大丈夫かな。目が覚めたら、君に逢えるんだもの。
こんなに寄り添っているのに君に拒まれる僕は何なんだろうね。もしかしたら他に好きな人がいるかも、なんてことを思ったらどうしようもなく嫉妬してしまう。でも、違うよね。僕が違うって信じたいだけかもしれないけど信じさせてよ。ねぇ、ルルーシュ。
君に愛されてるって自信が欲しいんだ。





ねぇ、君は僕にキスをするよね。

「スザク?どうした?」

「ルルーシュ、キスしてもいい?」

「・・・仕方ないな」

キスが嫌そうなわけじゃない。それに今日だって自分の部屋に誘ってくれた。それなら、大丈夫かな?

「ルルーシュ、その・・・」

「駄目だ。スザク」

「なんで?僕たち恋人同士でしょ?」

「そうだけど、駄目だ」

「なんで・・・っ」

僕はただルルーシュと愛し合いたいだけなんだ。なのになんで君は僕を拒む?もしかして本当に僕以外に好きな人がいるの?

「ルルーシュは、僕のこと好き?」

「好きだよ」

「ならなんで、セックスしてくれないの?」

「・・・別にしなくても確かめ合えるだろ?」

「そうだけど、僕は不安なんだ。君はいつも他の子にも優しいから・・・それに今日も告白されたでしょ?」

「・・・あぁ」

「不安なんだよ。・・・ただでさえ、僕たちは男同士だし・・・」

「お前、そんなことで悩んでたのか?」

その言葉に頭に血が上る。

「そんなことって・・・っ!」

ルルーシュにとってはくだらないことなんだ。そう思ったらどうしようもなくなった。愛しすぎて憎い。なんでこんなに・・・。

「君は僕のことなんて何とも思ってないんだ・・・っ」

「そんなことない」

「嘘をつくなよ!」

狂いそうだ。こんなに君のことが好きなのに、君は本当に僕を、僕だけを見てくれているの?僕は君だけなのに…。

「そんなことないよ。スザク」

そう言ってルルーシュが立ち上がっている僕の手に触れた。

「愛してる、スザク。お前が思うより俺はお前のことを想っているんだよ」

手の平にキスをされて頭がくらくらした。君はいつもそうだ。いつも感じるまま行動する。僕にはさせてくれないのに。

「ルルーシュ、」

キスをして髪に指を絡める。あぁ、君はいつも僕を狂わせる。







眠っているルルーシュの髪を撫でる。眠っているルルーシュの顔を見て微笑み、そして紫紺の瞳が見えないことに寂しさを感じた。

「僕の夢見てる?」

是非見てて欲しいな。僕には君だけなんだから。夢で逢えていなかったら、

「その瞳、僕しか映らなくしようか?」

ねぇ、ルルーシュ。夢の中でも僕に会って?そして僕を愛してくれる?
体の奥深くで「愛してる」と叫び続ける。そんな僕は滑稽なのかな。でも僕はそれほどまでに君を愛してるんだ。
眠っているルルーシュにキスをした。僕のことを愛してると、示してほしい。僕が安心するほどに。

「でも、」

君の吐息だけは僕のものなんだ。それ以外を欲しいと思うのは欲張りなのかな。

「ルルーシュ、」

君の全てが欲しいんだ。










ジェラシー
  俺はキミだけを求めて・・・


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