接吻
なんだか暖かくて優しいものに包まれているようだ。
固くもなく柔らかくもない。
適度に弾力のあるもの。
身体全体を包み込んでいた。
うっすらと意識が戻ってくる。
ゆっくり目を開けた。
目の前に男性がいた。
顔はぼやけていて見えない。
男性らしい手が私の頬を撫でる。
撫でられた感覚に覚えがない。
男性は私の知らない人だった。
しかしながら拒絶反応がない。
先ほどいったようにとても心地のいい空間にいるからかもしれない。
頬にあった手が顎に添えられた。
少し上に向けられる。
二つの影が一つになった。
全身に接吻される感覚。
包まれている。
何かを満たすように感じる。
人恋しいから受け入れてるのかな。
ただ単に接吻を繰り返していた。
唇が腫れるのではないかと思った。
接吻される度に静かな湖畔で波紋ができる。
その波紋が徐々に大きくなっていった。
それは自分ではどうしようもないくらいに。
心拍数が上がっていった。
昨夜のことを考えてみる。
現実で起こっていたならば怖い。
夢ならば恥ずかしい。
そのことを考えると胸がなりやまない。
1日そのことを考えざるをえなかった。
またあの感覚がこないか待ち遠しい自分がいた。
終
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