小さな体を通して見る世界はとても大きい。
白い革張りの椅子によじのぼり、パソコンを起動させるだけで大変に疲れた。
正チャン、どんな顔するかな。わくわくしながら発信した。
「おはよー正チャン!」
「おはようございます白蘭サ……誰ですかあんた!?」
期待を裏切らない反応。満足してうんうん、と頷く。
正チャンはずりさがった眼鏡を直し、画面のこちら側に食い入るような視線を送ってくる。ほんと飽きないなぁ。
骸クンほどじゃないけど。
「白蘭は、僕のお父さんだよっ!」
「………ぇ…」
「信じちゃうんだ!?」
「え、だって…ほんとに白蘭サン?」
「そうだよ!」
大体僕が女の人愛せるわけないでしょー。
呟きのつもりだったがしっかりマイクに拾われ、じとっと見つめられた。
それより、と正ちゃんの口が動く。
「どうしたんですかその格好は!!」
「パラレルワールドの技術だよーすごいよね」
「どうやって仕事するんですか…!!」
「真っ先に心配するとこそこなの?」
でもまぁ、言われてみればその通りかもしれない。
代わりに正チャンやってくれないかなぁ、なんて考えていたら僕は知りませんよ、と先に言われた。
「ケチ」
「はぁ…で用件は?」
「え?これ見せたかっただけだよ?」
「………まぁ、とにかく仕事はなんとかしておいてくださいね、では忙しいので」
ぶちっと切られた回線。
ぶちっと僕の堪忍袋の緒も切れかけた。