00-2 | ナノ

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小さな体を通して見る世界はとても大きい。


白い革張りの椅子によじのぼり、パソコンを起動させるだけで大変に疲れた。
正チャン、どんな顔するかな。わくわくしながら発信した。


「おはよー正チャン!」

「おはようございます白蘭サ……誰ですかあんた!?」


期待を裏切らない反応。満足してうんうん、と頷く。
正チャンはずりさがった眼鏡を直し、画面のこちら側に食い入るような視線を送ってくる。ほんと飽きないなぁ。
骸クンほどじゃないけど。


「白蘭は、僕のお父さんだよっ!」

「………ぇ…」

「信じちゃうんだ!?」

「え、だって…ほんとに白蘭サン?」

「そうだよ!」


大体僕が女の人愛せるわけないでしょー。
呟きのつもりだったがしっかりマイクに拾われ、じとっと見つめられた。
それより、と正ちゃんの口が動く。


「どうしたんですかその格好は!!」

「パラレルワールドの技術だよーすごいよね」

「どうやって仕事するんですか…!!」

「真っ先に心配するとこそこなの?」


でもまぁ、言われてみればその通りかもしれない。
代わりに正チャンやってくれないかなぁ、なんて考えていたら僕は知りませんよ、と先に言われた。


「ケチ」

「はぁ…で用件は?」

「え?これ見せたかっただけだよ?」

「………まぁ、とにかく仕事はなんとかしておいてくださいね、では忙しいので」


ぶちっと切られた回線。
ぶちっと僕の堪忍袋の緒も切れかけた。


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