8/21
「ペットが飼いたい」
「はぁ」
「飼いたくない?」
「あんまり興味はないですかね。うちには大きな犬がいますし」
「え……?どこどこ?」
「ああ、シマウマなら飼ってもいいですけどねぇ」
「ねぇ大きな犬ってなあに」
「貴方のことに決まっているでしょう、暑いからこっち寄らないで下さい」
「え?僕骸クンの犬なの??」
「餌をやると尻尾振って寄ってくるところとか、怒られたらしゅんとして耳を垂らしてるところとか、そっくりですよね」
「尻尾も犬耳もないよ……?で、でも骸クンの犬ならいいかも……」
「…………やっぱりさっきのは撤回で」
「えっなんで!ご主人様どうして!」
「こんな気持ち悪い犬飼いたくありません」
「…………」
「それよりシマウマ飼いましょうよ!シマウマ可愛いですって」
「ええぇ……?骸クンシマウマ気に入ってたの?」
「一緒にライオンも飼いたいところですけど」
「1LDSKなのに無理言わないの」
「んー、せめて庭があればいいんですかね?」
「三階だしねぇココ」
「ていうか、そもそもうちのマンションってペット大丈夫なんですか?」
「大家さんがよく犬散歩させてるじゃん、いいんじゃないの?」
「あぁ、確かに……」
「ねぇ、シマウマ以外で現実味があるペットだったらなに飼いたい?」
「そうですねぇ……白蘭は?」
「熱帯魚!」
「ほう、魚とは……意外ですね」
「そう?僕、海好きだから、熱帯魚とか飼ってみたいなーってずっと思ってて」
「ふむ……確かにいいかもしれませんね、熱帯魚」
「でしょ!?」
「でも色んな種類ありますけど、具体的には」
「あのねあのね!今日の新聞の広告にね!新しくできたホームセンターのチラシ入っててね!」
「……貴方、最初からこの展開に持っていくつもりでしたね?」
「あ、ばれちゃった?まぁとりあえず見てみてよ」
「ああ、割と安いんですね……」
「んっと僕はねー、これとこれが」
「よし、見に行きますか」
「え」
「すぐ近くじゃないですか、これ」
「え、そうだけど、いいの?」
「計画を立てて僕を誘うほど、飼いたかったのでしょう?」
「……うん!いこいこ!」
「じゃあ用意してきますよ」
「骸クン、ありがとうだいすき!」
「はいはい、準備なさい」
「はーい!」
prev /
next