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「骸クン。」
「何ですか。……って、なに正座なんてしてるんですからしくもない」
「改まってお願いがあります。」
「は、はい?」
「欲しいものがあります。」
「欲しいもの、ですか」
「そうです。」
「……わざわざそれを僕に聞くということは、よほど高いのですか?」
「はい。ちょっと、正気じゃない額かも知れません。」
「正気じゃない額?……具体的には」
「普段買っているそれの値段の、15倍ほどはします。」
「15倍……ちょっと待ちなさい、普段買ってるそれの値段が幾らかによるでしょう、それ」
「そう、ですね。では、普段買っているそれは、二つ入りで598円です。」
「ていうか良い加減商品名明かしたらどうなんですか。…………15倍ということは、一つ4500円と言ったところですね」
「その通りです。」
「……で、何なんですか」
「……石鹸です」
「石鹸?」
「うん……あのね聞いて、すっごくいい匂いの石鹸があったの。絶対骸クン気にいるだろうなって思ったし、僕も骸クンに使って欲しいなって思ったの。でも……」
「なんの匂いなんです?」
「オレンジチョコレートなんだって……でも、高いし……でもでもっオレンジチョコレートの香りがする骸クンなんてすごく魅惑的で美味しそうだしっ……」
「はぁ……そんなに欲しいんならいいんじゃないですか?」
「……ほんと!?4398円だよいいの!?」
「貴方最近バイト頑張ってますし……それくらいなら大丈夫じゃないですかね?」
「……やったー!!ありがと骸クンっ!!」
「それじゃあ早速買いに行きましょうか。どこの店ですか?」
「あっうん、実はもう買っちゃったんだけどさ」
「……白蘭、貴方に話があります」
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