(…あ、マグナスだ)
ゆらゆらゆれる藍の髪が光に透けてとてもきれい。
(こっち向かないかな)
澄んだ瞳はいつも見つめられたら吸い込まれそうで、ずっと見つめることは出来ない。
「…!」
だけど、それでも、
(わ、目が合った)
わたしと目が合ったとき、
(あ、ほっぺ赤くなった。照れてる)
とても嬉しそうにはにかんでれるあなたがいるから
(あ…目、逸らした。ほっぺを人差し指で軽く掻くのは癖なんだよね)
わたしもおんなじようにはにかんで返すの。
(ひとつため息を吐き出したら、数秒後にはその澄んだ瞳がとっても細くなる)
ゆっくり近付きながら、君はわたしの髪に必ず触れてわたしの大好きな声で、
「ナマエ!」
名前を呼んでくれるんだ。
昼間の暖かくて柔らかい風が廊下を飾るカーテンで遊んでは消えていく。城の外で今も綺麗に咲き誇る花たちが甘い香りを運んでくる。
わたし目線。
(こんな君の顔、知ってるのはわたしくらい)