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真名──エドワード
アーサー王とギネヴィア妃の嫡子として生を受けた天使のような相貌の王子は、まさしく彼らの光そのものだった。
はたしてその光が翳りを帯びたのは運命か、宿命か。

「我が弟の子よ、アーサー王よ、お前が苦しむ呪いを贈ろう。お前にではない、お前の家族にだ。」
「お前の息子が15になる時、お前の愛する息子はこの魔竜と同じ怪物に成り果てる。」


アーサー王の打ち倒した魔竜ヴォーティガーンの今際の際の呪いは、恐るべきものだった。
やがてキャメロットに城を築いた王は、生まれた我が子を守る為にあらゆる悪意あるものから遠ざけ、守ったが、それも虚しくエドワードはキャメロットの崩壊を目論む妖姫モルガンの姦計により自身にかけられた呪いを知る。

エドワードは真実を王に問いただした。
王は沈黙を以って答えた。それが、答えだった。
少年にとっての全てが壊れた。今まで過ごして来た日々は偽りの安寧だと思った。
──そしてエドワードは、呪いの通り魔竜へと成り果て、怒りのままにアーサー王始め円卓の騎士達へ襲いかかり、三日三晩続いた戦いの末、聖槍ロンゴミニアドに心臓を貫かれて死亡した。


死した後、人の姿へと立ち戻ったエドワードの遺体は王城へと運び込まれ、誰の手にも触れぬ事ができぬよう王と魔術師マーリンの手によってひっそりと埋葬された。

彼の死によってアーサー王は悲しみを忘れるかの様に以前よりも執務に打ち込むようになり、ギネヴィア妃はランスロットとの不倫に走るようになったと言う。







七色の光が集約されると、そこには1つの小柄な影が立っていた。
深い青のローブを被いていたその人は一歩、足を踏み出すと、それと同時にフードをはずす。
さらりと現れる星の輝きのような髪、凪いだ湖を連想させる穏やかな瞳、触れれば溶けてしまうのではないかと思わせる雪の肌。
優しげな相貌は、ともすれば天使のようにさえ思えるほどだった。

黒い髪の少年を見つけると、彼は優しく微笑んだ。


「はじめまして、こんにちは。サーヴァント・アーチャー、エドワード。あなたと共に戦うものです。」

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