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ぼくらのテリトリイ



むっつり弓道部員→同級生
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たーん、と小気味良い音が耳に届いて、胸がいっぱいになるまで静かに息を吸い込んだ。
朝の澄んだ空気が肺に満ちて気持ちがいい。
残心をたっぷりとっていると、道場の扉が軋む音が聞こえた。

「あ、邪魔した?」

「んにゃ、はよ」

「はよー、超早いじゃん」

真面目か、と笑う浜中の髪の毛が寝癖でハネている。
ちょっと可愛い。
触りたいなあ、なんて、神棚の下で不謹慎かな。

「んー、帰ってそのままオチてて、4時に目ぇ覚めたんだよ」

「うわー。じじぃみてぇ」

「うっせ」

家から着てきたらしい、体育着のポロシャツから覗く浜中の鎖骨にドキリとする。
ソバカスの浮く顔は平凡なのに、白くて細い体は、何となくエロい。
腰が細いから腰パンしたジャージが落ちてしまいそうだ。
見ていてハラハラする。

「すっげ、皆中じゃん」

「あー」

まあ。
なんとか。
今日は調子がいいらしい。

少し目を細めて安土を見やる浜中が笑顔を浮かべている。

はは。
何か嬉しい。

弓に弦を張るのに、コケそうになってるし。
目が合って恥ずかしそうに笑う浜中。
可愛いじゃん。


早起きは三文の徳とか言うけど、三文どころじゃない気がする。
朝からテンション上がりまくりだ。


「小野田の離れ、すげえイイよね」

「あ?」

「パアンって、見てて気持ちいい。おれ、最後、くるってなんないし……」

「くるって……ああ……」

口を尖らせる浜中に笑いが漏れる。

「当たりゃいいんじゃね?」

「マジ?」

「おう」

「でも、カッコよくしたいしなあ……。小野田みたく、こう……」

そんなに褒めてくれるな。

神棚の横に貼られた、下手くそな『一射入魂』の文字を見上げて、深呼吸をする。
打起こしから大三、一気に引き分ける。

会。
きりきりと弦が啼く。


入魂。


この一射に魂を込めて。


あんな的なんかじゃなく、浜中の胸を射抜きたい。
なんて。
馬鹿なことを考えていた所為か、放った矢はぽそりと安土に突き刺さった



「あーあ」

にやにや笑う浜中をちらりと睨む。

「小野田、かっわいー」

どこがだよ。
意味わかんねえ。

俺の後ろの射位に入りながらも、くすくす笑う浜中の笑い声が聞こえる。


ちぇ。
ホント、打ち抜いてやりたい。
お前の心を。
その気持ちを。

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正射必中。
当たる射が正しい。
どっちも心理です。

ちなみに、小野田は部長。
浜中ん家は学校の裏手、弓道場の脇で、小野田がいるのを見て慌てて登校して来ました。
なんだ、両思いなんじゃん。


雄っぱいが擦れるけど、胸当てが恥ずかしくてって話が書きたい。
と、今ふと思った。
ぽっちゃりっこで。いえい。


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