「
Odyssey」
対
蛇神×木こり
初夜 18禁
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寸分違わず同じ時にこの世に生まれた者同士は、強く魅かれ合うという。
その二人の体には目印として、生まれながらに同じ場所に同じ形の印が刻まれている。
迷信だ。
伝説だ。
そんな事で人生を決められてたまるか、と思う。
この馬鹿げた言い伝えで一緒になった夫婦なんて、ただの一組も見た事がない。
確かに、俺の額には、猫に引っかかれたような痣がある。
丁度眉間の上。
額の真中。
血の巡りが良くなると自分でもぎょっとするほど赤く浮かび上がる。
普段鉢巻を愛用しているのは、もちろん機能的だからなのは勿論だが、この痣を隠したいから。
信じてはいない。
信じてないが、あまり人の目に触れさせたくもない。
「ああ、可愛らしい」
その男は、俺の額に真っ赤な唇を押しつけた。
その男の秀でた額の同じ位置にも、俺と同じ形の痣が真っ赤に浮かび上がっている。
男も興奮しているのだ。
そう知れて、そわそわと落ち着かない。
「また赤くなった。なんと可愛らしい」
「…………っ」
ドクドクと心臓が煩く聞こえる。
俺の下半身に埋め込まれた男の指が蠢いて、クチリといやらしい音がした。
背筋を這い上がる快感と羞恥で視界が潤む。
水の膜の向こうで目を細めた男の口の端から、先が二股に割れた細い舌がチラチラとのぞいていた。
人ではない証。
畏ろしい、と思う。
男は山の神、蛇神、らしい。
俺は毎朝仕事の無事を祈って祠に手を合わせる
この男は、俺の額の痣がに気付いて此処──神の住処に連れ去った。
たまたま、その日は珍しく鉢巻も手ぬぐいも巻いていなかった。
今はそれを悔やむ。
「厭かえ?」
俺の体が強張ったのに気付いた男の、女性の様に美しい顔が僅かに歪む。
「……俺は醜い」
男に触れられるのは、不思議と嫌ではなかった。
そうではない。
そうではなくて。
「俺は男で、老いていて、醜くて、とても……あんたの傍に相応しいと思えない」
視界に入ることすら、おこがましいと思う。
神の前では取るに足らない矮小な存在なのに。
自分の言葉に喉がひくつき、目尻から溢れた涙が零れた。
それを男のひやりと冷たい指が拭う。
「何を言うか、愛しい人」
なのに。
なのに、男の綺麗な口は、俺に向けた甘い言葉を囁く。
「この印は我の伴侶の証ぞ。お前以外に我を埋めることはできぬ」
「でも、そんな……」
「お前が醜いと言うのならば、我の本性は目も当てられぬ」
ほほっと上品に笑う男の目がクルリと丸く見開かれた。
「共に、あれ」
「ぅ……あ、ああああ……」
ゆっくりと俺の中に埋め込まれていく男の分身の熱さに、俺の返事は溶けて消えた。
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木こりは40歳後半から50歳位のイメージです。
世界観では寿命を迎える手前くらいの老人。
出会った瞬間、伝説通り恋に落ちましたが、頑固な老人には受け入れがたいようです。
蛇神も同じ歳ですが、神様ですから、そこは、まあ……。
ふつくしい方がイイかとおもいますデス。
神様としてはかなりの若輩者。
伴侶を得て、やっと経験値1です。
睦まじく。
子供生んだりしたらいいと思います。