死神の帰る場所
本編
死神の帰る場所06

なんて、余裕は、あっという間に吹き飛んだ。


「ン……ふ…………っちゅ、ア、ん……」

巧みなキスに頭の芯が酔わされる。
今回は、私、お酒飲んでいないはずなんだけどね。
何でこんなに酩酊状態なんだろう。

口内を蹂躙する軟体動物に応えて舌を動かせば、それを絡め取られて扱かれる。
濡れた粘膜が擦りあうのが気持ちいい。

何度も空想したやらしい快感。
もう逃がすものかと、治仁くんの頬を両手で挟んで引き寄せれば、ふっと吐息が顔にかかった。

笑われちゃった。


そっと目を開いて至近距離の瞳を盗み見ると、ばっちりと目が合う。
私を映した目が僅かに細められて、自然と眦が下がった。
とろりと顔が緩んでしまう。
見苦しくてごめんよ。

「ァあ……む、ふ……ン」

夢中になってキスの快感を味わっていると、気付けば寝まきがはだけていた。
手なれた治仁くんに感心してしまう。
スマートだなあ。
同じ男として憧れてしまう。

「! ンん……!!」

するりとわき腹から胸に向かって素肌を撫であげられて、体が震えた。

うわあ、ゾクゾクするよ。


治仁くんの香り、体温、息遣い。
その全てが興奮材料で、キスだけですっかりその気になってしまった。
なんか、若いなあ、私。
へそを擽っていた悪戯な手が、あっさりとその事を暴く。

「……興奮してる」

言わないでくれよ。
もうね、ガチガチです。
お恥ずかしい。

覗き込んでくる真っ黒な瞳に微かに頷けば、しっかりと立ちあがったペニスがそっと握りこまれた。

「ッは……ぁ……」

物理的な刺激に、思わず声が漏れる。
やわやわと急所を探られば、その何とも言えない気持ちよさに腰が揺れてしまう。

「一回、イク?」

「?」

「多分、長くなるから。ちょっと辛そう」






……長くなる……?






あ、えっと……。
セックス、が、ってこと、かな?





セックス……。


あれ?

セックスするんだよね?






私と、治仁くんが。

男同士で。

男同士なのに。



セックス。






「……えっと?」

「ここ、解すから」



尻を優しく撫でられて、色んな事が一気に現実味を帯びた。


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