死神の帰る場所
本編
死神の帰る場所04

久しぶりの抱き枕。


……ああ、緊張する。


心臓がバクバクして痛い。
大丈夫かな、私。
ちゃんと平静でいられるだろうか。
治仁くんに触れて、……おかしくなってしまわないだろうか。


不安、それから不純な期待とを熱いシャワーの強い水流で洗い流す。



で。


あれ?



「あの……? ちょ……っ。はる、っと、くん?」

「……なに?」



え?
なにって……。

私の台詞じゃない?



久しぶりの、何だか懐かしさすら感じるベッドの上。
後ろから私を抱きしめた治仁くんが、こう耳元に鼻筋を押しつけて。
まあ、それは別に、良いんだけど。

「や、くすぐった……っふ……ン!」

舐めてる……よね?

舐められてる……よね?
私。

「っア! ……ァ!」

耳の軟骨に歯を立てられて、反射的にビクリと体が揺れた。
痛くはない。
いや、ちょっぴり痛いけど、それよりも、何て言うか。

暴れた体を、治仁くんの両腕が更に強く抱きすくめる。
熱い舌がねっとりと耳朶の形を辿って、卑猥な水音とともに耳の中に侵入してきた。

「ンっ! ……ひぁ、あ……や……あ……」



ゾクゾクする。



ヤバイ、でしょ?
これ。

頭をおかしくするような刺激は、背筋を下って、腰にクる。
ひくひくと体を震わせていると、シャツの裾から侵入した大きな手が宥める様に腹を撫でた。

いや、いやいや。
それもくすぐったくて、逆効果だからね?
優しく触れるひんやりした感触に、おかしな声が出そうになる。

「っとくん、ちょっと……きみ、酔ってるの?」

そう、だ。

酔った治仁くんはスキンシップが増える。
寝不足の上にお酒なんて飲んだら、きっとちょっとおかしくなっちゃうよね?

「……メール」

「メール?」

耳元で、治仁くんの静かな声がした。
微かに動く空気が耳の産毛を擽る。

おお、う。

それすら、今の私には毒だよ。

「今日の。見たよね」

メール……。
うん。
さっきの、ケータイに入ったヤツ?

見たね。

こくりと頷けば耳元の空気がまた揺れた。

「今日、食べたいもの」



…………。




ん?




頭の中に、見慣れた文字列が浮かび上がる。










……んんん!?


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