会長^2
会長軟禁された
08

毎週月曜日に、徹クンはやってくる。

徹クンに会えるのはとても楽しい。



だけど




採血は嫌いなんだ!!




初回の検査で、投与された薬を特定することは出来なった。
正体が分からなければ対応すらできない。

いつ何が起こるか分からない、と頻繁に検査を受けることになった。
受けさせられる事になった。

双子の提案で。



当初、毎日だった採血は、私の弛まぬ努力で隔日、3日に一度と減って行き、今は週一に落ち着いている。
毎週月曜日。
一週間の始まりは苦痛に満ちている。




……痛いの嫌いなんだよう。



いやいや、別に徹クンが下手だとか言ってる訳じゃないよ?
上手いよ?
ちょっとチクってするだけだよ?


でも、嫌いなんだもん!!



はあぁぁ、と長い溜息をつくと、左ノ助が畏まった顔で頭を下げた。

「申し訳ございません」

「ひえ? 何が?」

「旦那様にご不便をおかけして、申し訳ございません」


神妙な左ノ助。







イヤイヤイヤイヤ。

自分の所為だからね?

忘れてやいないからね?

私の所為だからね?





……はい、採血も喜んでさせていただきますよ。


だから

「左ノ助、ご褒美は?」


毎日の採血で、フラストレーションが溜まってキレた私。
採血を頑張ったらご褒美をくれと無茶振りした所、真面目な執事の顔が大きく歪んだ。
それが楽しくて悪乗りしていたのだが、最近では癖になってしまっている。

昨日の分のご褒美を貰っていない。



頭頂部を左ノ助の方に向けると、やや間が空いて、優しい手が頭に置かれた。
微かな重さが心地良い。

髪の毛を梳くように。
頭の形を確かめるように。
ゆっくりと動かされる手に、自然と目が細くなる。


頭を撫でられるのがこんなに気持ちが良いなんて。
うっとりとしてしまうよ。



だらしがないと怒られるかもしれないが、顔がふにゃふにゃに蕩けてしまう。


この体になって、良かったなと感じられる時間だ。


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