「
試してみよう」
04
だからわからねえよ、と正直に答えると、知巳の顔がくしゃりと歪んだ。
「ボク……おかしいのかな……」
八の字眉がなんとも哀れだ。
「そんなこと、ないだろ」
「そうそう、試したことないら、守も感じるかもだし?」
へらへらと笑う翔也の言葉に多少戸惑いながらも頷く。
かも、だしな。
「そっか!」
ぱちくりと目を見開いた知巳に笑いかけてやると、嬉しそうに微笑んだ。
薄い耳たぶをつまんで引っ張れば、ふふっと笑い声が漏れる。
「じゃ! ねぇっ?」
試してみよう?
何をか……なんて、万年国語追試のオレでも分かってしまった。
この読解力がテストで発揮されたらいいのに。
決して、ロイヤルカツサンドに釣られたわけじゃないからな?
餌に吊された、一個で450円もする購買の高嶺の花は、とんでもなく魅力的ではあるが。
なにより、知巳のおねだりに弱い。
そんな自分を今、後悔しっきりだ。
「も、分かったんなら、い、だろ」
オレの股間を撫でる知巳を制止しようとした右手が、翔也に阻まれた。
俗に言う恋人繋ぎで指を絡められて、ふりほどく事ができない。
「ちょっ……っ。しょうや……。ざけんな、よ」
振り向いてチャラい顔を睨みつけると、だらしない口が弧を描いた。
「まもるえろい」
「ハアっ? 何いって……っァア!」
下半身に受けた刺激に、びくびくっと体が揺れた。
何事かと目線を戻せば、俺を睨みつける知巳が……。
「守、翔也ばっか見たらずるい」
「とも……」
だからって、直接ちんこ触るこたねえだろ?
いつの間にチャック開いたんだよ。
オレの皮が剥ききれていないちんこを、知巳の白い手が握りしめる様は卑猥で。
童貞には目の毒過ぎる。
「守のちんこ、でっかい」
頬を染めた知巳がうっとりとそんな事を言うから、ビクリと俺のちんこが大喜びだ。
「ん、くっ。ぁあっ」
「守ー、オレも構ってよー」
俺の乳首に張り付いたままだった翔也の左手がイタズラを再開させて、俺の口から変な声が飛び出す。
低いのに、女の喘ぎ声みたいなおかしな声。
恥ずかしいったらない。
「守かわいい」
知巳のひんやりとした手がオレの頬を挟み込んだ。
うるうると瞳をうるませるお前の方がよっぽど可愛いけどな。
「!」
だから、なんでお前は手慣れてるんだよ!!?
オレの頬をペロリと舐める知巳の小さい舌が、くすぐったい。