師走の佳人



あ、聞こえますか?
除夜の鐘が鳴っている。
正樹さんと一緒に新年を迎えられるなんて、きっと良い年になる。


ああ、ほら、またそんな目で僕を見る。
物欲しげに……この数日で随分おねだりが上手になったじゃないですか。

あはは、恥ずかしいですか?



じゃあ──

──何も考えられないくらい僕でいっぱいにしてあげます。







かねてから正樹さんの為に部屋を用意していた。
窓のない小さな部屋と頑丈な建具が気に入っている。
大きなベッドは正樹さんの専用席だ。


正樹さんの部屋なのに正樹さんがいないのはおかしい。


24日の忘年会の帰りに、寝てしまった正樹さんを招き入れた。
やっと完成した空間を眺めて大きな満足感に溜息をつく。

赤い顔をして眠る正樹さんに近づくと、少し荒い呼気からアルコールが香った。
首筋に手を当てると、とくとくと弾むような脈を感じた。
乾いてさらりとした肌の触り心地が好ましい。

生地が薄くなったスーツ。
皺がついたシャツ。
擦り切れそうな靴下。
順番に醜いものを取り払っていくと、無防備な正樹さんが現れた。

悪くない。

アルコールで体温が上がっているのか、睾丸の皮がだらしなく垂れていた。
くったりとしたペニスにそっと手を伸ばして触れてみた。
暖かくふにゃりとしたそれを指で弄ぶと、ひくひく反応して硬くなっていく。
意外と感じやすいのかもしれない。

そちらには特に用事がないので、正樹さんの体をうつ伏せに返した。
腹の下にクッションを重ねて尻を高く上げる。

肉の落ちた尻は、歳の割りにつるりとしていて綺麗だった。
尻たぶの間に隠された排泄器官も、思っていたよりずっと良かった。
何より、ぱくぱくと口をあける卑猥な所が気に入った。
思わず指の平を当てると、柔らかい肉がキスするように蠢く。
流石、正樹さん優秀だ。

引き出しからジェルのチューブを取り出して、直接アナルに差し込んだ。

「……ん゛ン……?」

身じろぐ正樹さんの腰を固定して中身を全て搾り出す。

「ん……っへっと、え? なに?」

「あ、おはようございます」

「ん……つだくん? あれ、忘年か……あ゛っ! あ゛!!? あ゛あ゛あぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁ・・・」

ひとまず、日付が変わる前に繋がっておいた。

「はっ! っきっつ……。あはは、正樹さん、緩めてくださいよ」

「ンぐっ! っあ、あ゛、あ゛、ア……」

「……聞いてないんですか? もう……仕方の、っないっ、人!」

「ひギィっ……ヤっ!  ……ぐア゛、っア゛、っア゛、あ゛! うごっ! くァ゛……! だメっ!」

後ろから犯すと、正樹さんが大きく腰を振った。
しなる腰の曲線が良い。

接続部から聞こえるぐちゃぐちゃと言う音ではない水音に目を向けると、シーツが吐瀉物で汚れていた。

「あはは、正樹さん、飲みすぎですよ」

本当に困った人だ。

「メリークリスマス、正樹さん」

きつい締め付けに初めての精を吐き出しながら、素敵なクリスマスを祝福した。


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