Encounter-遭遇-
『えー今日が最終日でーす。頑張れよー。まず死亡者からー。立海大附属中R1幸村精市、同じくR2真田弦一郎。それから禁止エリアは今からなくなりまーす。ただし分校は引き続き禁止エリアになるから、気をつけろよー』
プツンと放送が終わり、忍足は深いため息をついて跡部を見た。
「とうとう最終日まで来てしもたな、跡部。もうほんまに時間ないで」
「アーン、そんなことはわかってんだよ」
そう答える跡部はと言うと、パソコンと向き合ったまま、ずっと考え事をしていた。
どうにか乾のパソコンを繋げることに成功したが、分校のパソコンに侵入することはできなかった。
もっとパソコンに詳しい人間ならどうにかなるのかもしれないが、少なくとも跡部や忍足には不可能なことだった。
跡部はしばらくの間パソコンと向き合っていたが、やがて小さな舌打ちと共にパソコンを閉じた。
「仕方ねぇな…とにかく一度場所を移すぞ。これ以上ここに留まっていても無意味だ」
そう言って跡部が立ち上がろうとした瞬間、闇の中で人影が動いた。
「!?」
驚いて銃を向けると、そこに立海の参謀、柳蓮二と、詐欺師、仁王雅治が立っていた。
「柳、やっぱりこの辺にはいないみた……跡部!」
後ろからやって来たブン太とジャッカルは、跡部たちを見て目を見開く。
そこで忍足がブン太たちの方に銃を向けるが、柳が静かな声で言った。
「銃を下ろせ、跡部、忍足。俺達はお前達と争うつもりはない。…目的はお前達と一緒のはずだ」
「……」
跡部はしばらく彼らの様子を窺っていたが、誰一人銃を構える気配がないことを知り、忍足に目で合図をした。
そっと銃を下げると、仁王が口を開いた。
「お前さん達もユキを探しとるんじゃろ?」
「…ああ」
「どうやらお前達とはまだ合流できていないようだな」
「手掛かりもねぇからな」
「……」
そこで忍足が口を挟んだ。
「灯台には行ったんか?」
「もともと俺ら全員そこにいたんだよ」
「!」
「幸村と真田が死んだなんて、信じられないがな」
ブン太とジャッカルが答えると、跡部が銃をベルトに戻して言った。
「幸村は…どうかわからねぇが、真田の死体なら見た」
「!!」
「体中に銃弾を受けていた。…おそらくマシンガンか何かで撃たれたんだろう」
「…っ」
跡部の言葉にブン太は俯いて手を握り締める。
「そこにユキと赤也はいなかったのか…?」
そう柳が言うと、今度は跡部たちが驚きの表情を浮かべた。
「ユキが…灯台にだと?」
「幸村から二人が灯台に来たと連絡を受けた。それで別行動を取っていた丸井達と合流し、灯台に戻ろうとしていたのだ」
「……」
「…とにかく場所を移そう。ここでは目立つ」
「…ああ」
跡部は頷き、置いてあったディパックを忍足に渡して歩き出した。
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