俺、尾浜勘右衛門。16歳の高校一年生。小中高一貫の、大川学園の学生です。

彼女居ない歴=今まで生きてきた人生。いやフラグはあった。自分で言うのも何だけど、女の子に嫌われてはなかった。顔もそんな悪くないし親しみやすい性格と雰囲気してると思わない?俺。多分だけどさ。

現に今だってほらー。



「ね、あのね尾浜くん…放課後用事、ある…?」



クラスの女の子(だったと思う)が、物凄く顔真っ赤にして話し掛けてくれています。嬉しいことです。この子確か高校になってからの編入生だ。



「あー…放課後は…」

「よ、用事あったのなら、ごめんなさい…」

「うーん用事じゃなくてね…」



今から起こる出来事を、何の予備知識もない人に説明することは俺にはできない。理由が俺には分からないからだ。

女の子さんの後ろで、俺に見えるように八左ヱ門が大きく×印を出し、雷蔵が顔を真っ青にして首を横に振っている。

真っ赤な顔のままおろおろとしている女の子さんには何の罪もない。でも申し訳ない。

もう来た。



「?」

「あ、ちょっと、戸から離れて、」

「かんちゃあああああ!!!」

「ぐは」



女の子さんを教室の戸から離したまさにその時だ。教室の戸から、ミサイルみたいな勢いで俺の腹に向かって飛んできた、ちんまいの。

ちんまいこれが、今まで俺に彼女が出来てない一番の原因だった。



「!?!?!?」

「フシャアアアア!!!!!」



がたぶると震えている女の子さんに向かって、俺の腕の中で毛を逆立てて威嚇しているこれ。俺が十の時に隣の家に生まれた子で、名前は久々知兵助という。



「すまん…止められ、なかっ、た」

「三郎おお」

「生きてちゃぶろおおお」



小学一年生で、兵助と同じクラスの三郎がボロッボロの姿で、よろよろしながら現れた。八左ヱ門と雷蔵が慌てて駆け寄っている。



「あーごめんね、俺こいつを家まで送らないといけないから…」

「………」

「ごめんね」

「………、……」



じったばったと暴れる兵助を抱えて言う。女の子さんは下を向いたままだったけど、何か言ってるのが聞こえる。ん?



「お、おはまくんは、」

「え?」

「ショタコン、だった、ん、だね…!!」



がしゃん!!たたたたたた…

盛大な音をたてて教室の戸を閉めて、廊下を走り去っていった女の子さん。ぽかんと見守る俺。してやった顔でいる兵助。雷蔵達は頭を抱えている。

うん。どうやら高校でも、俺は彼女が出来そうにない。







6ー16

ちなみに俺はショタコンじゃない。一つ上の食満先輩に仲間意識持たれてるけど断じて違う。

俺がお菓子持ってたら集まってきて食べようとするし、あげなかったら泣くし。その点兵助は俺にお団子くれる良い子。何でこんな好かれてるのか分からないけど。

兵助(と三郎)以外のちんまいのは基本的に苦手です。



120305












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