みんなを無事見付けることもできたし、さあ教室へ帰ろうかという流れになったけれど。
「あー…みんなごめんね、わたしそろそろ食堂に行かないといけないからさ」
空気読めてないな申し訳ないなと思いつつ切り出すと、11人分の『えーーーっ!?』なんていう不満げな声が空に響いた。すまん。
「じゃあまた一緒に遊びましょう!」 「(えっとこの子は)虎若くん。また遊ぼうね」 「次はナメさんたちとも遊んでくださいね〜」 「うーん、それはがんばるわ。ありがとう喜三太ちゃん」 「次の隠れんぼにはとっておきの仕掛けを三治郎としておきますよ〜」 「はは、兵ちゃんにやにやしないの」
じゃあねみんな今日はありがとう! 笑って答えると、一年は組の子特有の『ありがとうございました!』を聞くことができた。よく躾の行き届いた子たちだな。
山田先生と土井先生にも挨拶をして、わたしは食堂へ向かった。そろそろランチの時間だからな。
… … …
「――け、兵助!」
勘右衛門が俺の名前を呼ぶ声にはっとして、目を黒板に移動させた。こめかみの辺りに筋を浮かべた木下先生に、その場に立っとれ!! と怒鳴られ漸く俺は、黒板の問題に当てられていたのだと気付いた。
そもそも授業も聞かずに外を見ていたのは、はて何だったろうか。突っ立ちながら明後日の方向を向いて考えるとまた怒鳴られた。
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