鳥が鳴いている声が聞こえる。

どうやら、いつの間にか眠り込んでしまったらしい。障子が薄い藍色になっているから、もうそろそろ日の出なんじゃないだろうか。

何でも初めが肝心だからな!
「――よっし!」
そんな風に気合いをいれると、布団を畳んで貸してもらった服に着替える。


「……服? いや着物? うーん、着方がよくわからんぞ……」


短パンみたいなズボンと、着物風のトップスをどう組み合わせたら、この時代ならまともに見えるのか……。あとこの帯紐? の結び方もよくわからない。
まあでも感覚でなんとかなるだろうと、ちゃちゃっと縛って外へ出る。


「ふいー、さすがにトイレは慣れだわ……あと歯磨きも」


二つとも現代じゃ予想もつかないような形式で、こればっかりは顔をしかめてしまった。慣れだな、慣れ。

歯磨き道具と手ぬぐいを部屋に置いてから食堂のおばちゃんの元へ行こうと、井戸から離れようとしたとき。
ぬっと、何かが隣に立っているのが視界の端からわかった。


(えええ何ーー!!?)


身体を思いっきり強張らせて、ロボットのようにぎこちなく顔を動かして確認すると、深緑色の頭巾が目に入った。





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