先生方と上級生の、わたしを見る視線がなんとなく前と違うように感じるようになった。文川さんが学園にやってきて、暫く経った頃だった。
もちろん、わたしの勘違いかも知れないけど(十中八九そうだと思うけど)先生方は、気づいたらわたしを少し厳しい顔をして見ているようで、上級生たちは逆になんだかニヤニヤしているようすだった。尤も、上級生の方は名前も知らない子たちだから、特に気にならなかったけど。


「おばちゃん……」
「なんだいハルちゃん」
「えーっと、あの……」


みんなが授業で不在の、ゆったりした時間帯。わたしは食堂の机に顎をつけてだらりとした格好のまま、おばちゃんに話し掛ける。上級生はどうでもよくても、先生方の厳しい視線はやはり気持ちの落ち着くものではない。自分のことだ、きっと何かやらかしたのだろう。直接言ってくれれば反省して気をつけるのに、まるでわたしの動向を注意して監視している時がある。何なんだろう。何もしてないよな……?


「あー……それはね……うん」
「? なになにおばちゃん、何か知ってるんですか?」
「いや……あたしから言っていいのかわからないけど。でもハルちゃんが何か悪い事をした訳じゃないわよ」


安心なさいな。
杓文字を持ってわたしに笑いかけてくれるおばちゃんは、きっと嘘つきではないだろう。しかしその、苦虫を潰すように言葉を濁した彼女の様子が気になった。ここはひとつ。


(誰かに直接訊いてみよう……)





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