すっかり陽が落ちて暗くなった。思い立ったはいいもの、あのあと食堂の掃除とか明日の下拵えを手伝っていたら、いつものようにみんなが湯浴みしたりする時間帯になってしまった。結局、険しい視線と浮わついた表情について理由を確認できていないまま、湯浴みの準備をするべく自分の長屋へ続く廊下のうえ足を進めていたら、湯上がりとみられる見知らぬ五年生が三人、前から歩いてきた。


「ねーハルさん」
「はい?」
「ハルさんも夜伽してくれたりするんですかー?」
「はいぃ?」


ヨトギって、夜伽のことだよな??
この五年生らは一体何を言っているんだ、ていうか君たち誰だい名前も知らないけども!!
こちらが予想外な言葉を投げ掛けられ、うまいこと反応できないでいると彼らはずんずん距離を詰めてきた。やっぱり五年ともなると身体がしっかりしているので、囲まれると少し圧巻だ。そして彼らの表情は、あのニヤニヤした笑いを浮かべているから、すごく嫌な気持ちになって無視を決め込もうとしたのに。


「ハルさんもさあ、あの人みたいに本当は飢えてるんじゃないの?」
「俺たちがお相手しますってー」
「ちょ、なに、」


肩を掴まれて身体が強張る。何かがおかしい。忍たまの子たち相手に身体が恐がるなんて、今まで一度も無かったのに、目の前で阻む男たちはまったく知らない、ただの暴漢に見える。


「……離してください」
「ていうかハルさんて、こんなちっさかったっけ」
「ほんと。そんなんじゃこんな風に、簡単に担がれても仕様がねえっすよ」
「!? やめ、」
「やめろ」


彼らの肩の隙間から見えるよく知った顔に、ほっとした。





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