ひゅ、ひゅうっ、と喉から空気が漏れる。何か詰まってるみたいにうまく息が出来ない。

初めて人を殺しました。
星のきれいな夜でした。



… … …



ちゃぷんちゃぷん。
程よい温かさの湯が揺れる。

ふうー、と大きく息を吐けば、ぴちゃん。滴が返すように音を立てた。


「今日も色々あったなー」


また三年ろ組の迷子コンビがいなくなったと作兵衛が駆けずり回ってたり、一年は組の子たちが二年生と軽くバトってたり、ああ伊作と伏木蔵くんのトイレットペーパーコンビは今日も落とし穴に落ちてたなあ。平和そのものだとおばちゃんと笑ってた。


(風呂も気持ちいいし、お腹もいっぱいだし、あとはのんびり本でも読みながら寝ますかー)


実はちょっと前から、雷蔵経由で図書館の本を借りて読ませていただいているのだ。この時代の本は筆書きで尚且つ文体とか言葉運びとか、やっぱ現代とはちょっと違うんだけど、それを理解してる雷蔵が「ハルさんもきっと読めるよ」と選んでくれたらしく、そんなのもう、有り難く拝見させていただきますの一言なのでして。

……自分が周りに気を遣わせているとは気付いている。本を貸してくれた事だって、手伝いがなければブラブラと手持ち無沙汰に徘徊する退屈げなわたしを見兼ねて回してくれた、雷蔵の優しさだろうね。それだけじゃなくても、身に覚えはたくさんある。

わたしがここにいる事によって、元からあった大切なサイクルを乱してしまっているのではと、ふと思った。でも風呂から出て寝着を羽織る頃にはすっかり忘れてしまった。
それが事実だとも知らないで。




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