小松田くんに道を聞いておいてよかった。もしかしたら迷ってしまってたかもしれない。
そんな訳で、初めて町に到着しました。


「うわー……」


すごい。何ていうのかな、ものすごく活気がある市場ってか商店街というか。何より人が出てきて品物を勧めているのが新鮮だ。面白いなーこの風景。


「さてカステラを探すか……」


お菓子屋さんにあるのかな、その辺のお店の人に尋ねればいいかと、キョロキョロ辺りを見渡してみると見たことあるふさふさの薄茶色の髷。もしやと思い近付いてみる。


「うーん、こっちは色が好みなんだけど柄でいったらこっちの方が好きだし……」
「あ、やっぱり雷蔵だ」
「えっ、うわハルさん!?」


声をかけると、んな驚かなくてもいいのに。自然に笑ってしまった。


「どうして僕だってわかったんですか?」
「うん? だってずっと顎に手あてて悩んでるからね、雷蔵じゃないかなって。何迷ってんの?」
「へへ……新しい頭巾の布をどちらにしようか、悩んでいたんです」


見ると、雷蔵の手には二つの布があった。お店の人らしきおじさんが、旦那さんもう一刻も悩んでるから、奥さん決めてやんな! と煽ってくる。


「おくっ、奥さんじゃないです!!」
「ははー旦那さんだって雷蔵、年下なのに」
「おっ姉さん女房かい? うちと一緒じゃねえか」
「違いますってば!」


初なのだろうか雷蔵は、顔を赤くして否定に回るが店主はからかいをやめず。面白かったけど。




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