「えーと……うーん」
「雷蔵の髪の毛は明るい茶色だから、こっちの空色が似合うと思うよ」
「あ、ありがとうございます……。じゃあ、おじさんこれ下さい」
「はいよ!」


ちゃりんとお金を出して物を受け取る雷蔵を見て、はっと気付く。そういえばわたし、この時代のお金の価値も払い方も何にも判らないじゃないか! あの硬貨がいくらになるとか、日本史の図説ちらっと見ただけだから覚えてないですよ。


「あ、あのさ雷蔵」
「はい?」
「このあと時間ある? すぐ帰らないとまずい?」
「いえ、もう三郎も八左も七松先輩にやられて先に帰ってしまいましたし、学園に帰っても仮眠を取るくらいなので大丈夫ですが」


ああそっか、六年生と合同演習なんだっけね。七松ってあの馬鹿力ナナマツのことか……うん確かにあの人相手はきついわ。


「――じゃあさ、申し訳ないんだけど、買い物付き合ってもらっていいかな」
「いいですよ。何を買うんです?」
「かすていらをね、買いたいんだけど」


だったらこっちに美味しいお店があるんですよと、雷蔵が案内を務めてくれる。これは二重に有り難いな。この町のことも、きっと詳しいのだろう。


「うわーおいしそー……」
「すっごく美味しいんで、僕もたまに勘右衛門や兵助やみんなで買いに来たりします」
「そっか、よしこれを買おう」




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