※社会人設定








「(溶けとる)」

濡れた髪を乾かそうと頭にタオルを乗せて脱衣所を出れば、玄関になにかが転がっていた。
しゃがみ込んで人差し指で突っつけばもぞもぞと動き出すから面白い。

「 」
「う、」
「 」
「うぅ…っ、」
「 」
「雅くん止めてぇ…」

うぇぇ…、なんて無理矢理上体を起こした名前におかえり、と声をかけた。
ぼろぼろ。まさにその言葉がぴったりだ。

「た、ただいま…」
「酒くさ」
「うぅ…、」

またペタリと床と親戚になった名前を人差し指で突っついた。やめてぇ…と声が聞こえる。

「遅い」
「ごめん」
「遅くなるなら連絡しろって言うとるじゃろ」
「ごめん、なさい」
「酒臭い」
「ごめんなさい…」

だんだんとしょげていく声に、今度はぽんぽんと頭を撫でる。
何事かと見上げる目は、酔っぱらい。とろとろだ。

「今度からはちゃんと連絡するコト」
「う…」
「返事は」
「うー、あー…」
「返事」
「は、はい」

そういえば、彼氏に連絡してると周りがやかましいといっていたような気もする。(気にしない。)
てろん、と投げ出された手から小指を掬いとって、指切りげんまん。
嘘吐いても針なんて飲ませんよ。
その代わりにとりあえず、アルコールでどろどろに熱くなった唇を食った。



指切りげんまん、嘘吐いたら
(呼吸できないくらいにキスしちゃるよ)
















社会人が酔っぱらって帰ってきたら。仁王バージョン

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