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アリス教授のご講義

ジェノス君がS級、サイタマがC級。はい感想、わけがわからないよ。
ジェノス君の実力は見たことないから知らないけど、怪人をワンパンで粉微塵にできるサイタマが下っ端スタートとか世の中おかしい…まあこれから実績を上げていけばすぐにS級になるでしょ。サイタマの力なら最速記録更新するんじゃないかな。
力と言えば、サイタマのあの最強すぎる力は本人曰く、腕立て伏せ・上体起こし・スクワット各百回&ランニング10qを3年続けた結果らしい。はい感想、わけがわからないよ。
そんな常識トレーニング、私学生時代に毎日×3セットやったわ。ご近所のお母さんのお陰で食事も三食欠かしてないし。あれか?エアコン点けてたのが悪いのか?んなわけあるか。そう詰め寄っても「他に何もない」の一点張りだったので、本人の気付かない内に何か凄い事があったんだと踏んでいる。こっそり調べ上げてやろう。

そんなある日、サイタマの家で漫画読んでお菓子食べてニュース見て「マフィアの継承式だってさー」「へー」なんてやり取りをしてたら、巨大なリュックを背負ったジェノス君がやって来た。押し掛け弟子が住み込み弟子に進化?しようとしてるらしい。
当然住人であるサイタマは即拒否した。私だって、ハゲ♂とロボ♂が隣で同棲なんて視界にジャブを入れるような展開は遠慮したい。いくら2人共整った顔とはいえ、そんなBL展開が許されるのは二次元でだけだ。
しかしそこへジェノス君が、先日と同じパターンを逆の立場で展開して下さった。

「部屋代払います」
「買収すんなしwwwww」
「ちゃんと歯ブラシ持って来たか?」
「快諾すんなしwwwwwwww」

これ何てプレイだよ。テーブルに積まれた諭吉タワーを見てサイタマの返答がひっくり返った。似た者師弟のチョロすぎるやり取りに、前回のも相まって私の腹筋は崩壊した。



―2015.10―



遂に!!この日が!!来た!!
大人になった最強の六つ子のアニメ!!
『おそ松さん』の放送開始キタ―――\(゚∀゚)/―――!!!!
もう6年前からずっっっと待ってたんだよ!?パーカーに自分で松アップリケ付けたり革ジャンとグラサン買ったりしてさ!!これからは正式に六つ子ちゃん達に貢げるんですねありが盗塁王!!伝説の第1話を拝謁する前にメイトへ足を運び、できるだけグッズを確保した。

サイタマとジェノス君が無事ヒーロー試験に合格したのが5日前。ジェノス君が住み込み弟子に進化したのが4日前。折角Z市の中心街まで来てるし、ちょっと遅いけど合格祝い&弟子の新居祝いに何かお土産を買って帰ってあげよう。王道のケーキか、野郎2人ならお肉の方が喜ぶか…私が食べたいからケーキにしよう。
生まれ育った町にあったケーキ屋がZ市にも出店してるのを見付けて、好きなケーキトップ3を購入する。ここのモンブラン好きなんだよね、やっぱ土台はメレンゲに限る。

「お前、サイタマの女だな」

ケーキを倒さないようゆっくり歩いて帰ろうとしたところへ、横から聞こえた声。
振り向こうとすると何かが首筋に宛てられた。反射的に一歩引いて見ると、クナイだ。
視線だけ横に向けて相手を見る。黒Tシャツに黒ズボンとシンプルな服装、腰には刀とクナイが入ってるだろうウェストポーチ、線は細いけど服の下はしっかり筋肉がついてそうだ。
こんな昼間に刺客?さてどうやって逃げようか…考えてると、ふとさっきの言葉を思い出した。

「サイタマの…いや違うけど?」
「惚けるな。お前がサイタマと懇意にしているのはとっくに調べがついている。命が惜しければ今すぐ奴の所へ案内してもらおうか」

狙いは私じゃないのか、とりあえず一安心。
すんごい勘違いをしてるのはさて置き、何で私とサイタマが親しくしてること知ってるんだろうこの子。確かに最近買い物とかで会ったら一緒に帰ったりしてるけど、約束してるわけじゃないから頻度は低い。親しくなって10日近く、外で会った回数は片手で数えられる程度。それを把握してるってことは…ハッ!そうか!
なんだよサイタマ隅に置けないな〜、こんな別嬪さんな彼女がいたなんて!よくよく見たら綺麗な黒髪に白い肌の美人さんじゃないか!その怖い顔と荒い口調は直すべきだろうけど…いや、これは相手が私だからか。「私のサイタマに近付くんじゃねーよ」ってアレだな!ヤキモチか可愛いな!

「大丈夫っすよー、私とサイタマはそんな仲じゃないんで!最近知り合ったばっかで…つーかこんな綺麗なお嬢さん放っぽいてあのハゲ何処行ってんだか」
「は?おじょ…」
「あ、ヒーローの見廻りに出かけたんだった。ごめんね、今連絡付かないわ。あいつケータイ持ってないっしょ?代わりに伝言なら引き受k」
「俺は男だ!!」

美人さんがクナイを思いっ切りブン投げてきたから、飛び退いてそれを避ける。人通り少ない道でよかった…ってその前に男!?嘘だろその顔とボディラインで!でもこのキレ具合からして嘘を言ってるようには見えない。マジかよ。あれ?ということはサイタマの件はどうなるの…ハッ!そうか!

「まさかサイタマがそっちの人…こんな身近に腐女子の餌食がいたなんて、しかも×弟子じゃないだと…!マジか私リアルでは想像しない派なんだよな…いやでも恋愛の形は人それぞれだもんね…あれ、そういや君達どっちが右側?」
「殺す!!」

うっわ顔えげつねえ!と思ってたら今度は手裏剣的な何かが飛んで来た。一度避けたそれは方向転換してまたこっちに向かって来る。ロケットボムか!これ変に回避したら建物に被害が出そうだな。そして私の持ってるケーキも無事じゃ済まなさそうだな。本当は使いたくないけどギャラリーが集まる前に解決させたい。
仕方なく手にオーラを集中させて飛んで来た手裏剣を消した。塵一つ残さず消えたそれを見て美人忍者は目を見開く。そして一言。

「お前…“怪人ハンター”か!」

あっそれ、極秘情報なんでデカい声で言わないでほしいっす――とは言わず、追及される前に忍者に背を向け大通りに走る。
何かごちゃごちゃ言ってたけど無視だ無視。人混みに入って"絶"をすればもう追って来れないでしょ。だがしかし油断した。今時忍者なんて実在するんだな。しかもしっかり裏情報に通じていらっしゃる。これからはオフの時は戦闘スタイル変えた方がよさそうだな…。

帰ってケーキを確認すると私のモンブランだけ倒れて哀れな姿になっていた。
あの忍者は次会ったら本物のくノ一にしてやる。絶対にだ。


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