白雪 | ナノ
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3


「リボーン、感謝する。この武器はしかと貰い受けた。ついては、一つ頼みたい事がある」
「何だ?」
「直に夏休みになる。その折に、私をイタリアに連れて行ってほしい」

突然の話に三人組は目を見開いた。
彼女の言うイタリアが観光ではなく、ボンゴレの本部だという事は容易に分かる。
つまり、彼女は本格的にマフィアと関わろうとしているのだ。

「鳶尾さん…本気なんですか?真選組はどうするんですか?」
「帰れるか分からん所に何時までも思いを馳せていても仕方ないだろう。それに、並盛(此処)にいたのでは体が鈍る。これから世話になる所に挨拶して、お前達より一足先に仕事を始めるつもりだ」

仕事――事務処理だけではない、血に汚れた仕事も示しているのだろう。
武装警察として京都はその手のものに慣れているが、自分達にとっては縁がない筈の話。
彼女とは住んでいた世界が違うと改めて教えられたようで、綱吉は胸が締め付けられた。心に比例して頭が下を向く。
途端、頭の上に何か温かいもの。それが京都の手だと分かるのにそう時間はかからなかった。

「心配するな。お前達の宿題を手伝ったり祭りについて行ったりできるように、早めに帰って来る」
「……絶対ですよ?」
「一緒に屋台回ろーぜ!」
「十代目との約束、守らなかったら果たす」

京都に詰め寄る3人に、リボーンはフッと笑みを溢した。
彼女という存在は、彼らの中では随分大きなものになっている。その逆もまた然りだ。
ありふれていて、それでいて確かなこの絆が必要とされるのはそう先の話ではないだろう。

「よし鳶尾、終業式が終わり次第飛ぶぞ。但し、連れて行くのは俺じゃねー。ツナの面倒見なきゃなんねーからな」
「(いらねー!)じゃあ、ディーノさんに頼むの?」
「本当ならそうするとこなんだが、何処からかお前の噂を聞き付けた奴がいてな…丁度いいからそいつに頼む。俺も久し振りに話がしてーしな」

――まさか生きていたとはな…
そんなリボーンの呟きは、誰の耳にも届く事はなかった。


   *  *


それから数日。
その日京都達は市民プールからの帰宅途中だった。カナヅチ綱吉に水泳の講座を開いていたのだ。
メンバーは綱吉・獄寺・山本・笹川了平・ハル・リボーンそして京都。一部を除き、一行は嬉しそうだ。

「これでバタ足練習は回避できそうだ〜」
「おめでとうございますツナさん!」
「よかったのな、ツナ!」
「流石十代目!見事な“クロール”でした!」
「極限トビウオのようだったぞ!」
「(…言えん、今更“平泳ぎ”のテストだなんて言えん…)」

水泳テストの種目は平泳ぎなのでクロールのみを練習しても意味がない。
京都は指摘しようとしたのだが、リボーンが『面白そうだから』と口止め、否脅したため叶わなかった。
リボーンの所為だが罪悪感を感じる。泳げない綱吉は、クラス全員の前でバタ足練習をさせられるだろう。
心の中で綱吉に謝罪していると、前方を歩いていた一行が足を止めた。

「どうしたお前達?」
「いや…何かツナん家の前に誰か……」
「はひー、外国の方です〜」
「極限背が高いな…」

何時の間にか見えていた沢田宅。その門の前に、見知らぬ外国人が立っていた。
ビターチョコレートを思わせるような焦げ茶色の短髪。空のように澄んだスカイブルーの眼。
髪の色に合わせた、細い白のストライプが入った茶色のベストとズボン。同じ色の上着と小さなトランクを小脇に抱えている。
どうやらチャイムを鳴らしているようだが、生憎沢田家の者は皆買い物で出払っている。

『…困ったなぁ…』
「…イタリア語?」

「8年振りだな。元気そうで安心したぞ」
「!」
「り、リボーンの知り合い!?」

リボーンの声に反応して外国人が此方を向く。リボーン以外の全員が一瞬息を呑む。誰もが美形と評価する、整った顔立ちだ。
外国人はリボーンの姿を捉えると、安心したように顔を綻ばせた。

『リボーン久し振り。会えて嬉しいぜ』
『今まで消息が途絶えてたもんだから死んだのかと思ったぞ。泣きまくるディーノを宥めた俺の身にもなれ』
『宥めてなんかいねーくせに…まぁ悪かったな、いろいろ事情があってよ』
「…リボーン、こいつは…?」
「鳶尾、こいつがお前をイタリアに連れて行く奴だぞ」
『へぇ…アンタが噂の白雪姫か……』

空色の眼と京都の黒眼が交差する。お互い暫く無言だったが、すぐに空色の方が動いた。
片手を胸に当てて恭しく頭を下げ、丁寧な日本語で述べた。

「初めまして次期ボンゴレファミリーの皆様方――ビゾラと申します。以後お見知りおきを」



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オリキャラ登場。
今後ちょいちょい出て来ます。

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