白雪 | ナノ
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「俺、いい事思い付いた!京都を学級委員に推薦しまーす!」
「!武…?」
「あ!お、俺も!」
「十代目!?」
「俺も俺もッ!メガネちゃんに一票!」
「ロンシャン君!?」

雄弁家な京都の活躍を期待する山本にとっては絶好のチャンスなのだ。
これ幸いと綱吉も声を挙げ、内藤も興味が反れたのか一緒に声を挙げる。
二人の候補者の賛同を皮切りに、クラス中から賛成の声が挙がった。軽蔑どころか寧ろ尊敬の眼差しである。
しかし余りにも沸いてしまった教室に、どう事態を収拾すべきか分からない。というか自分が発言しても無駄な気がする。
いよいよ京都がリボーンに助けを求めようとした時、2つの高い声が教室に響いた。

「ちょっとあんたら!山本さんの話聞いてた!?本人の意見も聞きなさいよ!」
「京都ちゃん。みんな京都ちゃんだったら任せられるって思ってるんだけど、どうかな?」
「黒川に、京子ちゃん…!」

一人は京都も知っていた。花見の折に知り合った短い茶髪の女子、笹川京子だ。
黒川と呼ばれたもう一人は、長くふわふわの黒髪の女子だった。様子からして、京子と仲がいいようだ。
生徒達に厳しい声を投げる黒川の隣で、京子は遠慮がちに京都に話し掛けた。
興奮が収まり静かになった教室に一安心した京都は、迷う事なく言った。

「構わないさ。皆が支援してくれているなら、私はその期待に精一杯応えよう」
「本当?よかった!」
「…フッ……んじゃ、A組の学級委員は山本京都に決定するぞ」

リボ山がそう言うと教室に拍手が広がり、同時に一限目終了のチャイムが鳴った。



   *  *

「不可抗力なんだ。大勢の前で話すとなると、調子に乗ってつい饒舌になってしまう」
「それで草食動物達の期待と信用を集められる辺りが君の凄いところだよね」
「褒め言葉として取っておこう、雲雀恭弥」
「正真正銘褒め言葉だよ」
「こんな状態だと嫌味にしか聞こえん」

こんな状態とは、
昨日1−Aの学級委員に選ばれた京都は、翌日の昼休みに学級委員の集会に出席した。
だが学級委員は嫌々やらされた者が多く集会は酷くだらけており、その様子に憤慨した京都は昨日同様に熱弁を振るった。
結果そこでもまた尊敬の眼差しを受け、何と3年生を押し退け京都が学級委員長に就任してしまった。
そして放課後多くの部活勧誘の中、京都は経験があるという理由で渋々剣道部に見学に行った。
だが部長を名乗る持田という男は口だけ達者で大した実力が見受けられない。
刀に生きる京都にはそれが癪にさわり、体験という名を使って持田をこてんぱんに叩きのめした。
そして周りの部員達に刀とはどうあるべきかという説教染みた話を聞かせたところ、学級委員同様尊敬の眼差しを受けた。
結果、持田を蹴落として京都が部長に就任してしまった。まだ入部届けすら出していなかったのに。

学級委員長に剣道部主将。入学して僅か2日で随分な地位に就いてしまっている。
京都を風紀委員に入れようとしていた雲雀はその話を聞いて、遅かったかと悔しがりながらも賛美していた。
自分は他者と群れる事は嫌いだしその必要性が分からないが、彼女が人に囲まれていると凄く格好良く見える。
彼女という人間性の所為だろうか。

「まぁいいよ。その代わり、いい加減な仕事したら咬み殺すからね」
「そこは案ずるな。やるからには徹底的にやるつもりだ」
「…君やっぱり面白いよ。何時か遊ばせてよね」
「気が向いたらな」

京都としては、もう厄介事は起こしたくも巻き込まれたくもなかったのだった。
まぁ、あの俺様な赤ん坊家庭教師に目を付けられた時点でそれは叶わぬ願いだが…



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私の学校には風紀委員なんてなかったんで何するのか知らないんですけど。
風紀:校則取締、学級:連絡事項伝達・校外とのやり取り、が仕事って認識です。

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