青そら | ナノ
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▽ 芸は身を助ける

「あ、気が付いたアル!」
「本当だ、よかった。大丈夫ですか?」
「………」

…いやいや、好きやけども。この漫画好きやけどもさ。
何でよりによって銀魂?



は身を助ける



「私神楽アル。で、こっちはダメガネ・シンパチー」
「嘘吐けェ!何で外人風!?あ、すいません。僕、志村新八です」

うん、知ってる。ほんま、何で銀魂なん?Dグレがダメでもブリーチがあるやろ、ハガレンがあるやろ。あ、全部ランダムやったっけ。くそっ、仕事くらいキチッとしろや。あーもしかして特典もしょーもないもんやったりする?

「昨日この家の前で倒れてたんだヨ。何かあったアルか?」
「神楽ちゃん、それはまだ聞かなくていいよ。それより眼鏡、落ちてましたよ」
「あ、すいま……え?」

眼鏡ないん?裸眼なん今?…めっちゃ見えんねんけど。ひょっとして特典ってこれ?…まぁ、ありがたいっちゃありがたいか…
あ、主役の登場や。

「おう、やっと起きたか。ったく死んでんのかと思ったぜ、お前」
「紹介しますね。こちらは万事屋の亭主の坂田銀時さん。
 あ、万事屋っていうのは、頼まれれば何でもやるって仕事で、要するに何でも屋です」
「万事屋銀ちゃんとは俺の事アルぜ」
「おい、それ俺のセリフだボケ」
「…あの、私今井恭です。すいません、随分ご迷惑おかけしてしまったみたいで…」
「全くだぜ。奇妙な身なりといい、おめーどっから来たんだ?こんなチョコのメーカー聞いた事ねーしよ」
「!?」

そのおやつ、私のエネルギー源ンンンン!!この腐れ天パ何してくれとんじゃァァアア!!!

―ドカン!!

…あれ?何かえげつない音した。え?私の所為ちゃうよな?外やんな、外。銀さんが「なんだなんだ?」と出て行った後を神楽が付いて行き、新八も「すいません、すぐ戻ります」って言うて後を追った。
…は〜〜何でこーなるん?好きな漫画第5位くらいの世界に来ちゃうわ、勝手に大事なスイーツ食われるわ。大体今って漫画のどのへん「救急車アアアアア!!」あ、そのへんか。
…あれ?ってことはあの人ら、暫く帰って来ぉへんのちゃうん?その間私どうしたらええねん…。

「おいお前、悪いな。ちょいとヤボ用が出来ちまった。
 下の店のケバい婆さんにお前の事話しといたから、何かあったらそいつを頼んな」

ひょっこり銀さんが顔出したと思ったら、それだけ言うて私の返事を聞かずに出てってしまった。
…ケバい婆さんって、お登勢さんの事?…まぁ銀さんよりはええかも。着付けとか、かぶき町の事とかいろいろ教えてもらえそうやし。
あ、衣食住。ちゃんと確保せなあかんな。

「あんたかい?銀時の家の前で倒れてたって子は」

…お登勢さん、想像以上にケバかった……。


   *  *


「恭、ちょいと買い物頼まれてくれないかい?今手が離せなくてね」
「はい、いいですよ」
「すまないね。近くだからすぐわかるだろうよ」

あれから3日、ホンマにみんな帰って来んかった。ってか家の主人もおらんのに居座っちゃってんで私…家探しでもするか、バイト先も探さなあかんし。
そこへ丁度お使いの話が来た。たとえ近くでも、行かへんよりは世界観が広がる筈や。買い物リストと簡単な地図をもらって外へ出た。
うわ〜〜すごォ。円盤が空飛んでる、魚が二足歩行してるぅ。きょろきょろ辺りを見回す私はまるで挙動不審。怪しいったらない。
幕末にも関わらず、私のおった平成の町より遥かに発展してる。流石天人文化。
頼まれた物も買い終わって、求人広告でも持って帰ろうと思ってると……

「ちょーーっとだけ付き合ってくれたらいいだけだってぇ〜」
「…い、嫌です。離して下さい…!」
「いいじゃねーか、減るもんじゃねーんだしよ」

…何や、定番のナンパかいな。一人の女の子が数人のゴツい男に囲まれてる。
助けたりたいけど私みたいな弱っちじゃな…しゃーない、アレやってみるか。一遍やってみたかったんよな〜。

「あのぉ、ちょっといいですか?」
「あ゙ぁ?何だてめえ、邪魔すんじゃね…――」
真選組だぁ!御用改めであるゥゥウウ!!(マヨラー声)」
「「!?」」

やってやった!大して上手くないけど。でも充分効果はあった。
ま、あれだけ叫ばれたら逃げるしかないわな。真面目に弓道部で発声練習しといてよかった。

「…あの、ありがとうございました。今日初ライブで遅刻できないんで、ホント助かりました」

絡まれてた女の子が話し掛けてきた。グラサンで顔はよく分からんけど、綺麗な髪と着物や。
って、ん?初ライブ?何この人、芸能人?…え、まさか……

「これ、今日のライブのチケットです。よかったら見に来て下さいネクロマンサー」

…お前かいッッッ!!

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