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高杉晋助。
坂田銀時・桂小太郎・坂本辰馬と共に攘夷戦争に参加した男。
彼は戦が終わった今も倒幕を企てており、幕府の間では最も危険で過激な攘夷浪士と言われている。
戦で負傷した右目を包帯で隠し、派手な蝶の着流しを着用している。
一見人目を引きそうなナリではあるが、この町自体が派手なかぶき町では彼の姿さえ余り目立たない。

今回彼は、自分の隊にいた平賀三郎の父親を利用して将軍の首を取るつもりで京から江戸にやって来た。
しかし彼の目論見は失敗、江戸一のカラクリ技師の源外は指名手配犯になった。
“この顔にピン!!ときたら110番”という文字と共に張り紙に描かれた源外の似顔絵。
その立札を、高杉は何とはなしに眺めていた。

「どうやら失敗したようだな」

懐かしい声が聞こえた。振り返ると昨日見掛けた長髪の僧侶が此方を見ている。
再び顔を立札の方に向け、高杉は昨夜の事を思い出し口角を上げた。
思惑は失敗したが悔いはない、面白いものが見られたから。

「思わぬ邪魔が入ってな。牙なんぞとうに失くしたと思っていたが…とんだ誤算だったぜ」
「何かを護るためなら、人は誰でも牙をむこうというもの…護るものも何もないお前は、ただの獣だ高杉」
「獣で結構。俺は護るものなんぞないし、必要もない。全て壊すだけさ、獣の呻きが止むまでな…」

それだけ言うと、高杉は立札にも桂にも背を向ける。
そのまま立ち去ろうとして、高杉はふとある事を思い出し桂に声を掛けた。

「…そういやあの野郎、妙な猫を飼っていやがるな」
「猫…?」

突然の話に桂は首を傾げた。猫とは一体何なのか。銀時が飼っているのは犬だ。
そんな桂を余所に、高杉は何処か嬉しそうに話をする。

「気にならァ。見てくれは弱っちい仔猫のくせに…どーも何かある気がしてならねェぜあの女」
「!お前…彼女に会ったのか?」
「おっ、お前とも知り合いか?ありゃ化けるぜ、きっかけがあれば。もしかするととんでもねェ獅子(ケモノ)になるかもな…」

ククク…と独特の笑いを残して、高杉は今度こそ人混みの中に消えていった。
桂はその背中を暫く眺めていたが不意に声を掛けられ、高杉に関する思考を中止した。

「オイ生臭坊主!何すんだよ、壊れちゃったじゃねーか!」
「生臭坊主じゃない桂だ…?これはカラクリか?」

足元にいた少年の目線を追うと、何時の間にか自分が踏んでしまったらしい発条(ゼンマイ)仕掛けの玩具。
小さなソレを桂が手に取った時、少し離れた所から元気な老人の声が聞こえた。
道端にカラクリを並べて、子供と戯れるその老人は立札そっくりの人物。
しかしその姿は指名手配犯どころか、周りの子供と同じ無邪気な老人だった。

「フン、なかなかいい表情(カオ)してるじゃないか…」

桂は一度フッと安心したように笑みを漏らし、その場を後にした。



(…ククッ、次はちゃんと声掛けてやるからな…)



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彼も煙管吸うので私の中のランキングではちょっと低め。
でも声は超好き。悪役が似合う声優さんカッコいい…

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