青そら | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
▽ 2

「すいませんでした、余所見してたもので…」
「いえ、こちらこそすいませんでした。ところでつかぬ事をお聞きしますが、先程エクソシストって…?」
「いやなに。祈祷師なんて大層なもんじゃないネ。ただのしがない流れ者サ」
「(神楽それ何キャラ?)」
「えっ!でも、祈祷師ってことはお祓いとか出来るんですよね?」
「まあそーやって生活してるんでね。大方は出来ますよ」
「うわーホントにいるんだ、エクソシストって。じゃあウチの屯所もお祓いしてもらえますか?」
「!ええ、お力になれるなら」
「(…あれ?何かどんどん話進んでる…)」

そうこうしている内に、銀時達は真選組屯所のお祓いを任せられていた。
高額の報酬を期待してほくほくしている3人に対し、恭は密かに焦っていた。いざとなったら自分だけでも逃げよう。


   *  *


「局長、連れてきました。街で捜して来ました、拝み屋です」
「何だコイツらは…サーカスでもやるのか?」
「いや、霊を祓ってもらおうと思ってな」
「オイオイ、冗談だろ?こんな胡散臭い連中…」
「………」

来ちゃった。来てしもたよ、真選組の屯所。折角真選組の主要メンバーに会えたのに、こんな怪しいカッコで会う事になるなんて。

黒髪に瞳孔が開いた鋭い眼をした、真選組副長・土方十四郎。
栗色の髪に赤い眼で周りより一回り若い顔をした、一番隊長・沖田総悟。
先日下着泥棒の件でお世話(?)になったゴリラ、局長・近藤勲。
そして今しがた自分達を屯所へ連れて来た、監察方・山崎退。

銀さん達がやり取りしてる間に、4人をじっくりと眺めてみた。うわー生土方や、生沖田や。かっちょええ。山崎も実際に会うて見たら、結構整った顔してるよな。
暫く眺めてたら、いきなり銀さんに腕を掴まれた。え、何?

「そんじゃあ、まず屋敷内を一通り拝見させて貰えますかね?」
「勿論、お願いします。山崎、お連れしろ」
「はい。どうぞ、此方へ」
「おい、行くぞエーちゃん」
「(ネーミングセンス…)…はい」

どうも「エーちゃん」とは私の事らしい。どこぞのオッサンロック歌手みたいな…
センスの欠片もない銀さんに大分がっかりしたけど、まあそうも言ってられへん。気ぃ取り直してお祓いもどき続行。って言うても霊視するフリして屯所内歩き回るだけの簡単な作業やけど。
適当にやって適当な所で逃げよう。言い出しっぺ銀さん等やし、放ってってええよな?あ、でも新八は可哀相やから連れて逃げたろかな?


――――――――――
―――――――
―――――

「ざっと屋敷を見させて貰いましたがね、こりゃ相当強力な霊の波動を感じますなゴリラ」
「あ、今確実にゴリラって言ったよね?」
「まぁ、取り敢えず除霊してみますかね…こりゃ料金も相当高くなるゴリよ?」
「オイオイ、何か口癖みたいになってるぞ?」
「………」

一つの和室でお互い向かい合うように座る拝み屋(万事屋)と真選組。
銀さん達の馬鹿っぷりを止める術はないし止めるつもりもない。私はずっとだんまり。
さっきから視線が痛い。まぁこんな姿やったら当然っちゃ当然か…。

「して、霊は如何様なものゴリか?」
「うつった!!」
「えーと……工場長…――」

パンッ!という乾いた音を立てて、銀さんが神楽を勢い良く叩く。ってか何故工場長?

「えー…ベルトコンベアに挟まって死んだ工場長の霊です」
「あの〜…みんなが見たって言ってるのは女の霊なんですが…」
「間違えました。ベルトコンベアに挟まって死んだ工場長に似てるって言われて自殺した女の霊です」
「長ェよ!工場長のくだりいるかァァ!」

もうグダグダやん。勝手に話進めてくれるから私に出番はない、要らんけど。
そうこうしてる内に、山崎の鳩尾にボディブローがキマった。そろそろ正体バレるな。っちゅー事で、私は一人逃げる態勢に移りたいと思います。

「ばっか!お前、ベルトコンベアに挟まって死んだ女だよ!」
「ベルトコンベアに挟まれる女なんているわけないでしょ!ベルトコンベアに…アレ?」
「…ベルトコンベアに挟まって死んだ工場長に似てるって言われて自殺した女の人です」
「あ"ー、もいーよ、めんどくせーよ。普通の女やっとけや」
「無理ヨ!普通に生きるっていうのが簡単そうで一番難しいの!」

せっかく助け舟出したげたのに…まあええわ、私知らん。
遂に銀さんと神楽がモメだした。新八の仲裁も効かず取っ組み合いが始まる。私はみんなからちょっと離れて、軽くクラウチングスタートの構え。
そして真選組3人の「あ」という声を聞いた瞬間、新八の腕を引っ掴んで…

「わ、うわっ、恭さんっ!あっ2人置いて来ちゃった!ごめん銀さん神楽ちゃん!」
「(私は元から助ける気なかってんけどな…)」
「待てゴルァァアアア!てめーらも同罪だァァアアア!」
「うわァァアア!来たアアアア!!」

鬼の形相で追い掛けて来る土方さんと、出口目指して必死に逃げる私と新八。
今迄で一番速く走れてる気がする。今なら盗塁王になれるかも、とか思ってたら、私らの横を何かが過ぎった。

―ズドォオオオン!!

「チッ外したか。3人まとめて吹っ飛んでくれりゃよかったのに…」
「おい、3人ってなんだ。俺も入ってんのか、シバくぞコラ」
「はい、じゃあ坊主はこっちに逝きやしょうねー」
「とんでもない字に変換されてるよ!ミスだよね!ただの変換ミスだと言って!」
「ミスじゃねーよ、俺達殺る気満々だから。連れてけ総悟」
「“やる”じゃなくて“殺る”!?え、ちょ、ヘルプミィイイイ!!」

「…あれ?…私は一緒じゃないんですか?」
「お前は別件で逮捕する」
「え?別件って…私他には何も悪い事してないですよ!?」
「してんだろーが現在進行形で。その腰のモンは何だ、ああ?」
「あ"」

わ す れ て た
黒桜から貰ったから普通に持ち歩いてたけど、コレ立派な銃刀法違反や。せやからずっと視線が痛かったんや。祈祷師みたいな特別な人じゃなきゃ、刀なんて持てへんもんな。
私の事なんか知らん&真選組副長の土方さんがそれを見逃す筈がない。

「言い訳は取調室で聞いてやる」

鬼の副長・発動…死亡フラグ立ちました。

prev / next

[back to list]