青そら | ナノ
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▽ 2

「そうか、このパンツにはそんな事情が…俺ァてっきりサンタさんのプレゼントかと…」
「アンタ貰ってんのかいぃぃ!しかもサンタさんって、思いっ切り時期外れじゃないっスか!」
「っせーな!かぶき町のサンタさんは年中無休なんだよ!」
「フハハハハハ!そりゃお前、モテない男とみなされた証拠だよ!哀れだな〜」
「おーい、見えてるぞー。懐からモテない男の勲章が零れ出てるぞー」

「…銀、ときさん……そ、それ……」
「んあ?これがどうした?」
「!!!」

―バッッ!!

「?おい、どうした恭?」
「!恭さん、ひょっとしてソレ…」
「「!!」」
「…………っ」

恥の極み…男の人に自分の下着を見られた…!!
引っ手繰るように取って隠したけど遅過ぎる。変態云々以前の問題や。
私の衣類(しかも下着なんて一番デリケートな部分!)のセンスを覘かれた気がして物凄くハズい。
泣けてきた…否、なんか凄くイライラしてきた…。
とどのつまり、私はあの変態男に下着を触られた挙句、みんなの前でこれを曝け出す羽目になったと…?

「…冗談ちゃうわ」
「「「!?」」」
「…ただの変態の癖に、ヒーロー気取りしよってからに……気に入らん…腹立つ…許さへんんんんん……!!」
「…え?ちょっと、恭チャン…?」

3人がビビッてるのも、今は気にならへん。
手に持ってる己の下着を、渾身の力で引き裂いた。

「女ナメんなや畜生ォォォオオオオオ!!」
「「「あああああ!パンツぅぅぅ!!」」」


――――――――――
―――――――
―――――

「いいかー、相手はパンツの量より娘の質を求めてる真性の変態だ。だからまた必ずここに忍び込んで来る。そこを叩く!ふんどし仮面だかパンティーマスクだか知らねーが、乙女の純情と漢の誇りを踏み躙ったその所行、許し難し!白ブリーフを鮮血に染め上げてやるぞ!」

―オオオォォ!!!

「「………」」

所変わってここは志村家の庭。可愛らしい女物の下着が風でひらひらと靡いている。
それを背景に、すっかり武装した銀時達は“打倒ふんどし仮面”を掲げて意気込んでいた。
その傍に立つ新八と恭は口出しする気にもなれず、ただただ見守るばかりだった。

「すいませぇええん!下着泥棒如きでちょっと殺気立ちすぎじゃないですか!?」
「…新八君、止めるだけ無駄や。誰も聞いてないもん」
「あーもーあの人達は…あ、そういえば恭さんはいいんですか?あんなに怒ってたのに」
「うん、もうええわ。なんかすっきりしたし」
「…そうですか…」

先程とは打って変わって涼しげな顔をする恭。
パンツを引きちぎった時点で大方気は済んだらしい。今は新八の隣で戦場と化していく志村邸を静かに傍観している。
瓦割りや薙刀の素振りに飽き足らず、仕舞には地雷まで置き始めた。
止めた方がいいのかもしれないが、自分達二人でなんとかなる人達ではない。
結末は分かってるし、もうどうとでもなれ。そんな感じである。

「あーいてててて、腰に来るわー…」
「畑仕事じゃないから!世界で一番危険な土木作業だから!」
「新八君、止めるだけ無駄や。誰も聞いてないもん」
「恭さんコピペ!?諦めないで一緒に止めて下さいよ!」
「私らの言う事聞いてくれる人らやったら、今頃万事屋の家賃もちゃんと払えてると思う」
「言い返せないのが悲しい!!」

そうやろー。悲しいやろー。諦め新八、これが現実や。
表面ではそうやって新八を慰めつつ銀時達を眺めていたが、実際恭の本音は“めんどくさい”の一言に過ぎなかった。

「あ、じゃあ新八君。私そろそろバイト行ってくるわ」
「え?今からですか?」
「うん。朝バタバタしてたから昼間からに変えてもらってん。十時にはここに戻ってくるわ」
「分かりました。銀さん達にもそう言っておきますね」
「ありがとう。じゃあ行ってきます」

新八には悪いが、戻ってくる気はない。
あの修羅場にいたところで自分が役に立てるとは思えないし、何よりあのノリについてけへん。心の中で新八に合掌しながら、恭は志村邸を後にした。


   *  *


翌朝、恭は定春の散歩を兼ねて志村邸に足を運んだ。

恭の予測通り、昨日は誰も万事屋に帰って来なかった。
恐らく、みんな仲良く志村邸で伸びているに違いない。
門を開き屋敷内に足を一歩踏み入れようとした時、恭はふと気が付いた。
この屋敷内に埋められた無数の地雷が、昨日の内に全て爆発したとは限らない。
自分のたったこの一歩が、地獄への切符となる可能性も大いにあり得る。
そう考えた瞬間に激しい悪寒を感じ、恭は門から数歩後退した。
しかしこのままでは埒が明かない。
仕方なく恭は来た道を引き返し、近所の交番へ向かった。
真選組の連絡先は知らないが、同心にでも知らせれば何とかしてくれるだろう。
市民の家で近藤局長が倒れていると伝えると、同心は面白いくらいに驚いて真選組に連絡をとってくれた。
後の事は警察に任せ、恭はバイトに向かった。

志村邸から銀時達が救出されるのはその数時間後の事であった。



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いい感じのタイミングで2人が出せました。
じゃんじゃんキャラ出していきます。

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