青そら | ナノ
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「えーっと、次は大江戸ストアか。ええ加減人間の店長さん出てきてほしいわ」
「おいそこの、まな板の嬢ちゃん」
「?」

失礼極まりない言葉と共に、誰かが恭の袂を引っ張っていた。
振り返るとそこには、真白な髪と髭の御老人が恭をやや見上げるようにして立っていた。

「…貴方ですか、今私をまな板って呼んだのは。何か御用ですか?」
「………」
「(え、無視?自分が呼んどいて無視)?」

老人は声を掛けたっきり何も言わず、恭の袂を握ったまままじまじと恭を観察していた。見た目からして如何わしい人ではなさそうだが、何やら品定めをしている様な視線はどうも気持ちが悪い。

「…間違いないの…」
「…へ?」
「嬢ちゃん、付いといで。ワシの店に行こう」
「店?何の店ですか?」
「………」
「え、また無視?ねえそろそろ怒っていいですか?」


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―――――

「きゅうきゅうどらっぐ?99ショップの薬局バージョン?」
「違うわ。“つくもどらっぐ”じゃアホ。“九十九”もまともに読めんのかアホ」
「99って書いてたら誰かて読めませんよ…つまり貴方はこの薬局のオーナーさんなんですね?」
「そうじゃ。ただの薬局とは違うぞ?地球の普通の風邪薬から偏狭の星の秘薬までこの店は取り扱っとる。見かけはただのボロ店じゃが、商品の幅は広いし注文も多い。生活に困ることは全くないわい」
「へーすごいっすネー(自慢してるみたいですごいムカつく)」
「じゃがワシももう年でな、昔の様には走り回れん。嬢ちゃん、バイト探しとるんならワシんとこで働かんか?」

「……へ…?」
「働かんかと言うとるんじゃ。給料は悪くないぞ800」
「何ですかその800って…ちなみに、仕事内容はどういったものなんですか?」
「レジもやるが主に配達じゃ。運転免許なんか無くてもええぞ900」
「だから何ですかその語尾の数字は。まさか給料?時給何円とかいうので私を釣ってるんですか?」
「嫌だと思ったらすぐ辞めたらええ1000」
「……………」


――――――――――
―――――――
―――――

「九十九 十八郎(つくも じゅうはちろう)のところかい?へぇー、いいバイト先見付けたじゃないのさ」
「あーあの薬局ね、俺も知ってる。何回か配達の依頼受けたことあるわ」
「見付けたというか、見付けてもらったんですけどね」

結局お金に負けて引き受けてしもた。胡散臭いから遠慮したかってんけど…でも時給1000円やで?やろうと思わん?
それにあのお爺さん、お登勢さんと知り合いやって言うてたから大丈夫かなと思って…――

「!いたっ…!なに…?」
「ワン!」
「!?」
「おい、定春。あんま人に噛み付くんじゃねーぞ」

腕が痛いと思って見たら、定春が噛み付いてた。いつの間に!?
痛いとは言うたけど、銀さんたちみたいに血が出るほどじゃない。そっと撫でてみたけどぜんぜん嫌がらへん。白いお毛々がふさふさしてて気持ちいい。じゃれてくれてるんかな…?

「どうだい、恭。少しはこっちの世界に慣れたかい?」
「…えっ…?」

お登勢さんにそう聞かれて少し戸惑った。
銀魂は漫画もアニメもまあまあ見てたから、何となく世界観は分かってるつもり。けど、これからこの人達と上手く付き合っていけるやろか…?
ただでさえ口下手で人見知りが激しい性格やのに、相手がそこそこ好きな漫画の人達やったら余計緊張するやんか…。

「まぁババア、まだ来て一週間だ。すぐには慣れねェさ。ゆっくり馴染んでいきゃいいんだよ」
「…はい。改めて、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします、恭さん」
「一緒に稼ぎまくるアルヨ!」

銀さんにそう言われて助かった。
まあ、部活の先輩と同じ感じで接したらええか…。
そう思いながら、私は軽く頭を下げた。



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オリキャラ多くてすみません。でも作るの好きなんです、オリキャラ。
このお爺ちゃんが重要キャラかどうかは微妙なところ。

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