きっかけ大作戦02




ニブル山 ―正午―

「いただきま〜す」

このように明るい声で言うのはアーヴァイン。彼は食堂で買ったアンパンをおいしそうにかじっている。

「…いただきます」

このように低い声で言うのはヴィンセント。彼はユフィから貰った弁当を広げた。

勿論、アーヴァインはそれがユフィの弁当だとは知らず、ヴィンセントに尋ねた。

「え?ヴィンセント
弁当作ってきたの!?てか、可愛い〜」

「…これは私が作ったのではない」

「え?じゃあ、まさか…」

「…ユフィから貰った」

「……」

これがきっかけでアーヴァインによる
【きっかけ大作戦】が始まった。



翌日。

ゴルアル学園・放課後の屋上

「三人に来て貰ったのは他でもない。
手伝って欲しいことがあるんだ」

アーヴァインが言う「三人」。

それは、
クラウド・スコール・ヴィンセント
のことである。

「なんだろうな?」

「さあ?」

肩を竦めるクラウド。

そして、
アーヴァインはそれを無視して話始めた。

「諸君、先日ヴィンセントは自分の昼ご飯である焼きそばパンを僕にくれたんだ」

「どうしてだ?」

スコールが尋ねると、
アーヴァインはビシッと人差し指をスコールに向けて指して言った。

「いい質問だよ、スコール!実を言うとヴィンセントはその日、ユフィから手作り弁当を貰ったんだよ!!」

スコールとクラウドは揃ってヴィンセントの方を見た。が、ヴィンセントはそれから逃れる為に別に方向を見た。
それはさておき、次にクラウドが尋ねた。

「で、それがどうした?」

「わかってないな〜、クラウドは。つまる所、僕もセフィからの手作り弁当が欲しいんだ!!」

真剣な顔をして断言するアーヴァイン。だが、そこでまたもやクラウドが人言のような発言をする。

「作ってくれって
言えば作ってくれるだろ」

「そーじゃないんだよクラウド!
僕はさりげなく欲しいんだ!
そこに意味があるんだよ!」

「じゃあ、さりげなく貰うとして、
どうやってさりげなく貰うんだよ?」

「だから
それを今三人に考えて欲しいんだよ!」

「その為に呼ばれたのか…」

スコールは何やら悲しい気分になった。
クラウドは何故自分も呼ばれたのか判らなかったが、一人でも頭数が欲しいからだということに気がついた。

「という訳で、三人共、
いい案はないかい?」

アーヴァインに言われ、三人は、う〜んと考えて、やがて、クラウドが手を挙げた。

「はい、クラウド」

「アーヴァインは金欠で
昼飯が買えなくて困ってるって言う」

「それじゃ甲斐性なしと思われて
イメージダウンするからダメ」

「むぅ…」

「‥これなんかはどうだ?」

次にヴィンセントが手を挙げた。

「はい、ヴィンセント」

「アーヴァインは手作り弁当が
食べたいとぼやいていたと言う」

「あからさますぎるからダメ」

クラウドとヴィンセントの案は潰れた。
残る砦はスコールだけとなった。スコールはしばらく考えた後、答えを出した。

「アーヴァイン」

「はい、スコール」

「ヴィンセントと
同じ状況にすればいいと思うんだ」

「つまり?」

「ユフィとリュックの都合をこちら側が悪くして、セルフィがアーヴァインに弁当を渡すように段取りをするんだ」

「でもそれ成功するの〜?」

「俺にいい考えがある」






- 11 -


[*前] | [次#]
ページ:




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -