『深淵の部屋』

2010/02/27 04:39



「そこまでだ」

部屋の住人の動きが止まった

伸ばされた腕がだらりと降ろされる

しかし止まったのは動きのみで

濁った目はユフィを注視してやまない

部屋の温度が一気に下がったかのようだ

「ああ?何か言ったかね?」

住人の緩慢な動きとは打って変わって

意外と力強い声が発せられた

それに呼応して闇が深くなるかのようだ

窓を叩く雨音が一段と煩くなる

どんな表情で

ヴィンセントが肩を抱いているのか

それさえも闇が遮るこの部屋には

まだ別の住人がいるようだ

黒い闇色の腕がユフィの手首をつかみ

引きずり込もうとする

痛いと悲鳴すら上げれない恐怖が襲う


…身体の震えが止まらない


ガタガタと震えるユフィの

その手首を掴む腕をヴィンセントは掴む

驚いたかのように一度腕が痙攣すると

ぱっ、とその腕は闇に溶けてしまった



「この女は私が奥へと望んでいる人だ」

「いかにお前とはいえ」

「…この部屋の住人にするつもりはない」



ヴィンセントの声をかき消そうと

雨音が喧しくなり

その姿を消し去ろうと闇が纏わりつく


しかし不思議とよく通る声ははっきりと

声音に含まれた怒りを伝える


「いくぞ」

肩を抱く腕がほどかれた










しかし手首を掴む手はそのままに

ヴィンセントは歩き出した




やたらにダラダラ続く部屋シリーズ
なんて単調な文章(汗)


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