頂きもの | ナノ








「んー…」


今使っている本棚もついに埋まってしまい、新しい本棚を買おうとカタログに目を通す。
正直本が入ればなんでもいいのだけれど、そんなことを言ったら同居している彼に怒られるだろう。
…とは言え何が良いかと問われても全部同じにしか見えないワケで。
本棚探しに飽きてパラパラとページを捲ると、とあるページが目に留まった。


「…ふふっ」
「?…何笑ってんだよ」


ソファーで読書をしていた彼が怪訝そうに僕を見つめる。
僕は緩む頬をそのままに手招きして彼を呼ぶ。
彼は僕が座っているベッドの隣に腰掛けて、僕が指差すページに目を向けた。


「…抱き枕?」
「そ。猫の抱き枕。これをエリオットが抱いてるところ想像したら、笑えてきちゃって」
「あのなぁ…!つーか本棚はどうした!!」
「今は本棚よりこっちかな。ねぇどうする?買っちゃおうか?」
「〜っ、んなもんいらねぇよ!」


えー、可愛いと思うよ?
…なんて、もう少しからかってやろうと思っていたら、ふいに抱き締められて思わず言葉を呑み込む。


「…オレにはおまえがいるから、いい」
「ぷっ、なにそれ?抱き枕扱い?」
「なっ…そうは言ってねぇだろっ」
「…でもまぁ、それでもいいよ」


なんだかんだで僕もこうしているのは嫌いじゃないし。
あったかくて心が落ち着く。それはきっと、エリオットだからなんだと思う。
…うん、やっぱり、今更抱き枕なんて買えないよね。







抱き枕を抱くよりも、こうして彼に抱き締められている方がずっと幸せだって、知ってしまったから。













2011.12.08 アヤカ
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サイト:statice*のアヤカ様より強制的にもらい受けてきました!可愛い可愛いね、エリリオ可愛いね、アヤカ様の書く文は可愛く簡潔で素晴らしいです可愛い。本当に有り難うございました!


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