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ぼくはずっと知っていた。でもそれが間違いだといいなと思うと同時に、いいようもない期待を描いていたこともまた事実だったんだ。


→東の空が光る




ほの暗い空間に瞬く細い稲妻は紫色の光を帯びてぼくらの足元を照らし出した。歩くには十分だけれども、薄気味悪いその光の中でぼくよりも前を進んでいたクマトラがこちらを振り返る。

「本当にいいんだな。」

こちらを見つめるその青い瞳にも紫色の光が僕の顔と一緒に映り込んだのがみえた。

「うん、いいんだ。それにぼくがいないとね。針を抜く作業がのこってるでしょ。」

「お前は…」

厳しい顔の中にはっきりと浮かんだこちらを気遣うその色は、その派手なピンクの髪よりも彼女らしさを引き立てた。

「ぼく、知ってたんだ。あれはクラウスだってこと。嫌だとも思ったけど、もしかしたら助けられるかもとも思ってた。今もそう思ってる…」

けれど、もしダメだったら。
今まで戦った罪もない動物達と同じだとしたら。
ぼくはそれでも戦うだろうか?……戦える、だろうか…?

「駄目だよね、ぼくまだ迷ってるんだ。」

あははと笑えば隣のボニーがくぅんと鳴いた。
知っていたのに改めてあれはクラウスだと指摘されれば、怖くなってきた。もしかするとぼくはクラウスを、この手で…

「…迷ってもいいんだ。そのために俺たちがついてる。」

ふいにクマトラの横に並んだダスターが静かに言った。

「でも先には進まなけりゃいけない。今この瞬間にも針は抜かれてしまうかもしれないんだから。」

「うん」

針を先に抜かれてしまえば全てが終わってしまう。マジプシーたちの願いも、いま生きている全ての命も。

足をわずかに動かせばじゃりっと音がした。

「一つ、聞かせてくれないか?」

クマトラが静かな調子で尋ねる。泣くのを抑えるような笑顔。

「リュカは、ドラゴンに何を願うんだ?」

強大な力を有するドラゴン。それは針を抜く者の気持ちに応え、時間すらも超越した力を発揮するという。
それに託すぼくの想いは…


ほの暗い道をぼくらは進む。
希望と決意の中にわずかに暗い感情を抱きながら、それでも。




(みんなが幸せになれますように)
(…全く、お前らしいよ)











■―――――――――――
リュカは優しくて強い子。だからきっと願いも優しくて強いんだろうなと思う、それこそプレイヤーの選択肢を退けるほどに。
題名はアジカンの"旅立つ君へ"から。この曲きくとマザーな気持ちになるんです。明るい未来にハローって言いたいよ。



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