休暇を3日もらった。 →帰る場所 一時的にフィアナの家に戻った僕は、2日間を兄弟達やシスターと話をしたり、ピアノを弾いたりして過ごした。 ここ最近、戻るときにはエリオットと来るのが半ば当たり前のようになっていたので、兄弟やシスターは口々にエリオットがなぜいないのかを僕に尋ねた。 勿論理由があって彼はこの場にいない。僕が今回は一人で戻らせてくれるようにと頼んだんだ。 いつの間にかこの家にも当たり前のように受けいれられているエリオット。彼自身は子どもが苦手なようだけど、兄弟達はすっかり彼に懐いている。誰にでも公平で、口は悪いけど優しいから、それがみんなにも分かるんだろう。エリオットは照れて認めようとしないんだけど。 「リーオ、言われていたもの用意してきたわよ」 「ミセス・フィン、ありがとう」 僕が頼んでいたものをエントランスで受け取ると、ミセス・フィンは優しげに微笑んだ。 「もう帰り支度は済んだの?」 「うん、帰りの馬車ももう来る頃合いだから」 「そう」 依然として微笑んだままのミセス・フィンに、何か良いことでもあったのかと首を傾げる。 「リーオ、あなたなんだか幸せそうねぇ」 不意にそう言われて、自分が微笑んでいることを初めて自覚する。自身の頬に手を触れると、予想以上にゆるんでいるそれを再確認することになった。 少し考えて、考えなくたって分かっていたんだけど、確かに今、以前にはなかった気持ちを僕は感じている。理由は明白で、"何故か?"と考える時間は不要だった。 「そうかな……うん、そうかも知れない」 そう僕が笑顔で答えれば、ミセス・フィンは、そう、とだけ言って笑顔を返してくれた。 そんなやりとりをしている間に、馬車の迎えの人がやってきた。 迎えの人に軽い会釈と労いの言葉をかけ、扉の脇に置いてあった荷物をとり振り返る。 「それじゃあ、また」 静かに片手を挙げて別れを告げると、シスターや兄弟達は、にこやかに手を振ってくれた。 ―帰りの馬車、ゴトゴトと揺れるその中でミセス・フィンに手渡されたものをみる。 手の内にすっぽりと収まっているそれは "スターチスの花束"。 彼は喜んでくれるだろうか。 いつもより少し広い馬車の中、今僕はきっと笑顔なんだろう。 早く君の顔がみたいな。 ■――――――――――― 特にほかの駄文との繋がりはないけど、みようによってはそう見えないこともないですね。エリーを大事に想っているリーオが愛しいよ。 < |