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「ねこ…」
「猫だね」


→ネコと遊ぼう




学校のピアノ室へと向かう廊下の曲がり角、そこで突然飛び出してきたのは紛れもなく猫だった。
白い毛並みに赤いリボンを結んでいる。
校内にいることと、この見た目の情報を統合するとどこの猫なのかというのは一目瞭然で、ほぼ確実にミス・エイダ=ベザリウスの猫だろう。
たが、いつも一緒にいるはずの黒い猫および飼い主の姿は見当たらない。はぐれたのだろうか。

「ねぇエリオット、この猫…」
「ああ、スノウドロップだな」

え、なんで名前覚えてるの?というツッコミをいれる前に、エリオットは猫に近づいていく。

「おい猫、なんだお前だけなのか。主人はどうした?」

にゃーと返事をした猫の頭を撫でているエリオット。なんで君、猫に話しかけてるのと更にツッコミをいれたくなるが、我慢することにした。
もともと猫が好きなのに、そうとは決していわない彼は、たぶんここで茶化すと照れて意地を張って、本当は構いたいのに、猫から離れようとするだろうから。
…………。

「ね、エリオット、僕がミス・エイダ=ベザリウスを呼んでくるから、それまで猫とここにいてくれないかな」
「はぁ?なんで俺が…」
「校内に猫だけを野放しにしておけないでしょ、そうは思わない?」
「…確かに、そうだけどよ…」

彼の膝にじゃれついている猫に目をやりながら、しぶしぶといった様子で返事をする。
以前、ミス・エイダ=ベザリウスの自称兄と語った人物と接触してから、ベザリウス家に対する考え方に揺らぎが生じているエリオットは、しかしそれでも完全に偏見が拭えたわけではない。ゆえに、未だベザリウス家との接触に、例えそれが僕であっても、良い感情を抱かない。
聡い彼のことだ、もう本当は気がついているだろうに、長い間胸に抱き続けた感情は相当根深いのか、はたまた素直になれない面が邪魔をしているのか…。まぁどっちでもいいか、エリオットのことだからそのうち乗り越えるだろう。

「じゃ、そういうことで、猫が逃げないように見張っててね」
「おう…」

これまたしぶしぶといった様子で、けれど素直に猫を抱く。本当は嬉しいくせに、眉間の皺が緩んでいるのを彼は自覚しているのだろうか?茶化したくなる衝動を抑え、僕はその場を離れた。



ほどなくして見つけたミス・エイダ=ベザリウスを連れてもとの場所へと移動する。
静かに、気づかれないように。
ミス・エイダ=ベザリウスに目配せをしてから二人でそっと物陰から覗くと、笑顔で猫と戯れる彼の姿。

ほんと、素直じゃないんだから。











■――――――――――――
猫派な私がエリーが猫派で歓喜したのは言うまでもない。一人きりにしないと素直に猫と遊ぶことも出来ないエリオットに気を使ったリーオ。でも猫にエリオットが癒されてるのと同時にリーオとエイダも癒されてるのよ。ほのぼのほのぼの。


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