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 その後、今日は本当に何か用事があるらしい(あの後リボーンが銃を突きつけて白状させていたので間違いない)ネロが先に学校に向かい、珍しくまだ登校まで時間のあるツナはリボーンと一緒にイーピンを事情聴取した。
 メモを持ってアリバイを確かめて、ちょっと刑事っぽい。リボーンの翻訳により初めて明かされたイーピンの日常にも新鮮味を感じる。
 ただ聴取の結果としては、残念なのかどうかイーピンにはアリバイがあった。
 四時ごろからハルと買い物、四時二十分ごろから奈々・ビアンキと偶然顔を合わせ、一緒にケーキ屋でホールケーキを食べたらしい。その後、ケーキ屋から学校帰りの獄寺と山本を見かけ、五時ごろにハルが塾へ行くのに合わせて奈々たちとともに帰宅。
 ずっと誰かといたわけだからランボを誘拐するどころか手紙を渡すことも出来なさそうだし、そもそもイーピンは日本語が話せないのであの手紙を書くことも出来ない。
 何処となくランボに似ている気がしないでもない修行用のサンドバッグに若干の不安を残したが、とりあえずはシロである。
「うーん、犯人誰なんだろ〜?」
 結果としてはイーピンがシロだったのは喜ぶべきなのだろうが、未だつかめない犯人像に何だかモヤモヤするツナ。とりあえず心当たりを探ってはいるものの難しい。
 と、その時。不意に怪しい奴が思いあたる。
「(はっ……そうだ、愁!)」
 ネロが最近変なのは、事件と何か関係があるのだろうか。
 彼はこの頃一人でいることが多い。放課後は特にそうで、一体何をしているのか家に帰って来るのも十九時を回ることが増えている。きっとアリバイも無い。彼の言う用事とはもしや犯行の準備だったとか……
 ……いや、動機が無い。ネロはランボと、というかチビたち全般と仲がいいのである。面倒見がいい彼にランボたちが遊んでもらっている感じだが、ネロがそれで嫌そうな顔をしているところは見たことが無い。
 しかもこの事件の話を盛り上げたのは奴本人である。奴が犯人なら少なくともさっきリボーン側に付いてツナに事件の捜査を押し付けるようなことはしなかったはずだ。
 ツナはうんうん唸って頭を抱える。
 その隣で、リボーンも何やら思案顔をしていた。
 彼とて気分が浮かないこともある。この季節は特にそうだ。
「(ネロの奴、無理してなきゃいいが……。)」
「……リボーン?」
「!」
 どうやら自分で考えている以上にボンヤリしてしまっていたらしく、ツナの声に少し驚くリボーン。
「……何だ?」
 自分で自分に舌打ちしたくなる。
 というような苛立ちをありありと顔に出していたためツナはビクリと肩を跳ねさせる。
「い、い、いや、何でも、ないけど……(オレなんかまずいこと言っちゃった?)」
 余程リボーンの声に迫力があったのか、それともツナがただビビリなだけか、どもりながら返事をするツナ。
 普段ならそこで会話が終了するのだが、珍しく彼が言葉をつなげた。
「今日のおまえ、何か変じゃないか? ボーっとして……。」
「何でもねーぞ。それより、何か手がかりとかはねーのか?」
 リボーンはすぐに否定して話題を切り換えた。
 ツナは素直に考え込む。
「手がかりって言われてもなー……あ、そういえばランボにもらった紙があるけど……でも特に変なことは書いてないし……」
「……ダメツナが。」
「え?」
「手がかりあるじゃねーか。」
「いでっ」
 突如ツナの頭に巨大なハンマーが叩き込まれる。さすがに少し泣きが入った。
「何すんだよ!! 用件以外名前も何も書いてないって!!」
「だからおめーは甘いんだ。ここを見ろ、並盛中のびんせんだぞ。」
「!!」
 確かにリボーンの言う通り、便箋の下の方には「――並盛中――」と印刷されている。
 しかも、赤いラインは二年生用であることを示している。
 これで一気に犯人は絞られた。
 ランボとツナの共通の友達で、並盛中学校2年生である人間といえば、
 山本武、獄寺隼人、内藤ロンシャン、笹川京子、黒川花、そして空峰愁こと、ネロの六人。
「(犯人はこの中にいる……!!!)」

 
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