「エルザ!」
「どうしてここに?」
「ていうか、知り合い?」

エルザと男と視線を行き来させながら三者三様の質問をする。

「え〜と、とりあえず、こいつは評議員のジークレイン…あと、そんな一気に言われても」
「まあいい。俺から説明しよう。評議院にある依頼がきて、それがこのクラブ、それに妖精の尻尾にも関係する依頼だからエルザに一緒に来てもらった。以上だ」
「…え〜と…と、いうことは、もしかしてナツたちがここにいるのも何か関係が…?」
「大アリだ。あいつらも依頼を受けている」
「それはどのような依頼で…?」

困惑を隠せないルーシィが片言の敬語でそれでもなんとか話を聞こうとする。

「あの四人が一緒にいる娘たちは財閥の令嬢だ」
「財閥の令嬢?」
「この国を三分割する大企業それぞれの一人娘でな。最近、厳しい門限を破って、夜遊びを始めたようだが、親としては心配。それでボディガードをナツたちに依頼したというわけだ」
「いや、あのくらいの年齢でクラブ遊びって…」
「親が叱り飛ばせば済むんじゃありません?」

派手な服装と大人っぽいプロポーションで誤解していたが、よくよく見るとルーシィたちと年齢は同じくらいだ。

「まあ、そうなんだが…」

エルザが言いよどむのにかわり、男――ジークレインが口をはさむ。

「親もあまりに厳しく教育したのを反省しててな。このままの厳しい躾で反発してグレても困るということだ…少し前にハートフィリア財閥令嬢の家出事件があったしな」
「うっ!!」

痛いところを突かれたルーシィが思わず呻く。

「そ、それじゃグレイ様たちは単なる依頼で…」
「娘たちに降りかかる火の粉を払うこと――友人のような距離感で楽しませてやってほしいという依頼のようだ」
「…よかった〜」
「まあ、その依頼も今日が最終日だしな。ほら、こっちを見てるぞ」
「え?」

思わずナツたちの方を向くと、ナツたちはこっちに向けて手を振っていた。

「あちゃ〜」
「最初から気づかれてたのかな」
「鼻いいもんね」

ナツ、グレイ、ガジル、ロキの四人は女の子を連れ、ルーシィたちのところへとくる。

「よお。おまえら、勢揃いしてどうしたんだ?」
「あ…う〜ん。いろいろあって…」

つけてきたとは言えないルーシィたちは曖昧に誤魔化す。
そこで、女の子たちがルーシィの顔を見てあれ?という顔をした。

「あの〜もしかして、ハートフィリア財閥のルーシィさんですか?」

きれいな栗色のかみにウェーブのかかった長い髪の少女が言う。

「もう家は出た身だけど…(どうしよう。パーティとかで会ってるはずなのに見おぼえない)」
「それで、ナツさんが…」
「え?何?ナツがどうしたの?」
「おい!やめろ!」
「財閥の令嬢だからって遊んじゃいけないわけじゃない。遠慮するなってすごく優しかったんですよ。自分のそばに子供の頃に家で厳しくされて遊べなかった奴がいるからって…ルーシィさんのことだったんですね」
「ナツ…」

赤い顔して頬をかくナツをにやにやしながら眺める他三人。

「グレイ様〜よかったです〜。ジュビア心配で心配で」
「うおっ!心配って何の心配だよ!」
「そんなこと言ってグレイさんてば、いつも『こんなところ、見られたら大騒ぎするんだろうな。心配ないのに』って言ってたくせに」

続いて、癖のない緑色の髪を背中まで伸ばした、端正な顔立ちの少女が笑いながら言う。

「ガジルさんも、たまにはチビとこういうところにきてもいいかもなっていってましたよね」

最後に一番セクシーで大人びた黒髪の少女も同じように暴露する。

さっきまでにやにやしていたグレイとガジルの顔も赤く染まっていた。

「うわ〜三人とも顔真っ赤!」
「リンゴみたい!」
「おまえらなあ!」
「大人をからかうな!」
「子供のくせに!」

それを嬉しそうな顔で聞いていたルーシィたち三人。
だが、そこで、レビィがあることに気づき、質問をする。

「ねえ、子供のくせに…ってその娘たち何歳なの?」
「え?全員、11だけど」
「11!」

それを聞いた三人は三人とも違う意味で衝撃を受ける。

「そんな子供にやきもちを妬くなんて…ジュビアの馬鹿!」
「うう…11なのに私より胸が…胸が」
「…よかった。顔を覚えてないのは私の記憶力が悪いわけじゃない。急激に大人ぽくなっただけなんだ」

頭を抱えるジュビアに、しくしくとうなだれるレビィ。どこかホッとした様子のルーシィ。
三人の令嬢たちはそんな様子を不思議そうに眺めていた。






END



☆★☆★☆

前作品とは違う形で(今回は私が挿絵担当)コラボをさせていただきました!
コラボ作品は、相談をするところからすでに楽しいですよね!
何より先に自分が見られる・読めるってところも特権だなーと思います^^
FTで好きなカップリング達なので、私は読者側としても楽しませていただきました。
コラボと言っても、ほぼ理乃さんに任せっきりだったように感じてますので、私の絵はおまけと言うことで(笑)
理乃さん、ありがとうございます!
そして、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!


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