カタリと窓が開く音が耳に届く。
ルーシィは抱き締めていたクッションで顔を隠したが、恐る恐るナツが居る方へ目を向けた。

「おまえ、忘れてったぞ!大事なモンが入ってんだろ?」

ナツは手に持った鞄を見せると、ソファに座ったまま見上げてくる彼女に渡す。
それを受け取ったルーシィは、

「…あ、そういえばあたし――」
「ミラが気付いたみてーだぞ!」
「そっかあ、ありがとね。…あとでミラさんにもお礼言わなきゃ」

クッションを横に置き、膝の上に鞄を乗せた。すると、隣にドカッとナツが座ってくる。
彼からの視線を感じつつも、ルーシィは鞄を見つめていた。

――どうしよう…ナツの目、見れない。

両目を閉じて、深呼吸をする。ドキドキしている心臓を落ち着かせて、口を開いた。

「ねえ、ナツが言ってる二つ目とかってなんなの?」
「あん?ルーシィがしてみたいことだろ?」
「何よそれ?」
「見たんだよ、おまえの字で書いてあったメモみてーなの」
「……それって、もしかして」

何かを思い出したようでルーシィは勢いよく立ち上がり、ソファに鞄を置いて本棚に足を向ける。
目立たない位置にあった場所から一冊の本を取り出して開くと、折り曲がった付箋の先が顔を見せた。

「…だからあんた、この前朝早く部屋に居たのね」
「おう、一つ目の奴だろ?…なんだっけ、」
「もうっ!言わなくていいわよ!!」

恥ずかしさのあまり、誤って本をナツの顔に投げてしまった。彼の足元に落ちる。
それを拾い上げたナツは、顔を擦った。

「痛ぇな、角当たったぞ!」
「…あ、やだ!ナツ、それ返してー!」
「ん?」

見られたくないからか、ルーシィはナツの右手にある本に触れようとしたが掴めずにいる。簡単に返してはもらえない。
困った顔をした彼女の姿を目にして、反対に笑みを見せる彼は楽しそうである。

「そうだ!まだしてねえ奴すっぞ!」
「な、なに言って…っ!?」

距離が近かったことを良いことにナツはルーシィの手首を掴んで引き寄せると、額に口付けた。

「コレは、…二つ目」
「……」

あまりにも自然に動くナツを凝視して、力が抜けた彼女の側で彼は本を開いて確認している。

「次は三つ目、あー…コレは前にしたよな」
「……へっ?」

四つ目…とナツが本を放り投げて、唇を合わせてきた。――ルーシィにとっては、二度目になる特別なキスだ。
初めての時とは違い、ちゅっと音を立てるとお互いに名残惜しいようにして唇を離す。

「…おまえ、本当は嫌なんじゃねえの?」
「え…」
「さっきは蹴ったじゃねえか?」
「だ、だって、恥ずかしいでしょ!…みんなが居るのに。…それに」
「それに?」
「…なんでもない」
「なんだ?気になるじゃねえか!」

眉を下げて顔を背ける彼女の気持ちを理解できずに、ナツは口角を上げながら考えた。

――オレだから良いってことだよな。

離れようとしたルーシィに気付いて、彼女の肩に彼は両手を置くと、顔を近付ける。
もし嫌なら拒むはずだと、頭で考えず行動に移すことにした。
だが――ナツの唇がルーシィのそれに届く前に、その唇が彼の頬に触れている。

「…っ!?」
「ナツ、…あたしは悪戯じゃないからねっ」

不意打ちを食らったナツは放心状態であった。
しかし、回復した彼は「悪戯じゃねえってなんだ」と疑問符を浮かべていたが――
すぐに笑みを零した。









何度目になるか、今はもう分からない。息を整える為だけに離す二人の唇。



ナツのキスがイタズラだったとしても――
あたしからのキスはナツが作ってくれた、あの日のキスがもたらした――

大切なキスだから。





ソファの上に置かれてあるルーシィの鞄が二人を見ているように――キラリと光っている。
それがなんなのかは、後々悪戯好きな彼も驚かされるもの。
二人が気付いた時には、フェアリーテイルの看板娘には敵わないことを改めて実感した日であった。





終わり


☆★☆★☆
妄想したものが表現できず、完成度がかなり低い出来になってしまいました。
けれど、ナツルーはホント可愛いし、大好きです^^

『Kiss Kiss Kiss:Cyntia』をBGMとして聴きながら書いたものなんですけど。
ホントに文章も未熟さが実感されるな…。まだまだ頑張らないとですね!
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました!



前ページへ

戻る

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -