オルトレマーレの星ひとつ
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「俺が欲しいのはボスの座だけだ!!
カスは俺を崇めてりゃいい!俺をたたえてりゃいいんだ!」
暴君、傲慢、自己中心。
随分と勝手な意見だが、きっと今までそれを力で認めさせていたのだろう。
だからこそ、力ではどうにもならない『血』という壁。それを目の前にした時に彼は
「叶わねーなら道連れだ!どいつもぶっ殺してやる!」
周りを潰すことでしか、その不満を晴らせないのだろう。
こちらを全員殺す気でいるヴァリアー。もちろんボンゴレの守護者も黙ってはいない。
「チェルベッロ!私をここから出せ!クロームと戦わせろ!」
「ダメです!外部からの干渉は禁止されています!」
チッ、と舌打ちが漏れる。横では犬や千種も体を揺すっているのが見えた。
「犬がよく耐えてるね。短期のくせに」
「うるへー!昴みたいにガキじゃねえんらよ!」
「潰すぞ!」
きっと私と同じ気持ちだろうに、千種はともかく犬もまだ耐えられるとか。
本当にガキみたいじゃないか。
2対5。
ボンゴレの方が優勢。…なのだがマーモンの一言でそれは崩れた。
「総勢50名の生えぬきのヴァリアー隊が、間も無くここに到着するのさ。」
つまりそれは、外部からの増援。
「ボスは勝利後に連中の関わりのあるもの全て片付ける要因を向かわせておいたんだ。
僕ら幹部クラスの次に戦闘力の高い精鋭をね」
なんとも堂々としたルール違反。
止めに入ったチェルベッロを、前髪クンが切り裂いたことでヴァリアーの失格が確定した。
「そっちがそのつもりなら俺たちがツナ側で応戦するぜ
ここから出せコラ!」
「拙者も戦います!」
「この場合文句はないだろ!」
鎖鎌を取り出して、くるりと振り回す。千種も犬も準備は万端。いつでも飛び出せるようになっていた。
「それではヴァリアー側を失格とし、観覧席の赤外線を解除します」
確かに端末からは解除される音はした。しかし、赤外線は細工をされていたらしく開かない。しかも内部からの攻撃で爆発する仕組み。チェックメイト、そう思った瞬間
「え………
誰か…来る……?」
クロームが耳に手を当てて一人呟く。きっとその相手は、骸くん。
現れたヴァリアーの隊員は、ボロボロの状態。
刹那
「暴蛇烈覇!!!」
『なにか』に吹き飛ばされて彼らは飛ばされた。
「え…」
見覚えのある鉄球。そして、聞き覚えのある声。
鉄球の陰から覗く顔を見て、それは確証に変わった。